強皮症性肺疾患におけるシクロホスファミドとプラセボの比較
Cyclophosphamide versus Placebo in Scleroderma Lung Disease
D.P. Tashkin and Others
二重盲検無作為化プラセボ対照試験において,活動性肺胞炎と強皮症による間質性肺炎の所見が認められる患者を対象に,シクロホスファミドの経口投与が肺機能および健康関連症状に与える影響を検討した.
全米 13 ヵ所の臨床センターにおいて,気管支肺胞洗浄液,胸部の高分解能 CT のいずれか,あるいは両方の検査で,強皮症,拘束性の呼吸障害,呼吸困難,間質性肺炎の所見が認められた患者 158 例を試験に登録した.患者には,経口シクロホスファミド(体重 1 kg 当り 1 日≦2 mg)またはマッチさせたプラセボを 1 年間投与し,さらに 1 年間追跡を行った.最初の 1 年間は,肺機能を 3 ヵ月ごとに評価した.主要エンドポイントは,12 ヵ月の時点での努力肺活量(FVC,予測値のパーセンテージで表示)とし,ベースラインの FVC で調整した.
158 例中,145 例が少なくとも 6 ヵ月の投与を完了し,解析に組み入れられた.調整後の 12 ヵ月 FVC%予測値は,シクロホスファミド群とプラセボ群の平均絶対差が 2.53%(95%信頼区間 0.28~4.79%)であり,シクロホスファミドのほうが優れていた(P<0.03).生理学的結果および症状の転帰にも投与に関連する差が認められ,FVC の差は 24 ヵ月の時点でも維持されていた.有害事象の発生頻度はシクロホスファミド群のほうが高かったが,重大な有害事象の数に両群間で有意差は認められなかった.
強皮症による症候性の間質性肺炎患者において,1 年間のシクロホスファミドの経口投与により,肺機能,呼吸困難,皮膚の肥厚化,健康関連 QOL に,わずかではあるが有意な効果が認められた.肺機能に対する効果は,24 ヵ月間の試験期間を通して持続した.