January 26, 2006 Vol. 354 No. 4
外傷センターでの治療が死亡率に及ぼす影響に関する全米評価
A National Evaluation of the Effect of Trauma-Center Care on Mortality
E.J. MacKenzie and Others
外傷センターの有効性を示す強い証拠がない中では,病院がその維持にかかる費用を正当化することはむずかしい.この問題に取り組むために,レベル 1 の外傷センターと外傷センターのない病院(外傷センター以外の病院)とで,死亡率の差を調査した.
米国 14 州において,レベル 1 の外傷センターのある 18 病院と外傷センターのない 51 病院で治療を受けた患者の死亡転帰を比較した.中等度~重度の外傷のある 18~84 歳の患者を適格とした.院内で死亡した 1,104 例および生存して退院した 4,087 例に関する完全なデータを入手した.傾向スコア加重補正法により,外傷センターで治療を受けた患者と外傷センター以外で治療を受けた患者のあいだに認められる差について補正を行った.
患者特性の相違について補正後,外傷センターでは,外傷センター以外と比較して,院内死亡率(7.6% 対 9.5%,相対リスク 0.80,95%信頼区間 0.66~0.98)および 1 年死亡率(10.4% 対 13.8%,相対リスク 0.75,95%信頼区間 0.60~0.95)が有意に低かった.外傷センターにおける治療の効果は外傷の重症度によって異なり,死亡率の差は,主に重症度の高い患者に限られることが示唆された.
この知見は,外傷センターで治療を行うほうが外傷センター以外で治療を行うよりも死亡リスクが有意に低いことを示し,外傷センターの地域化の努力を続けることを肯定するものである.