進行性黒色腫に対する免疫療法により，自己免疫の血清学的・臨床的徴候が発現する．われわれは，高用量アジュバントインターフェロンα-2b による治療を受けた IIB 期，IIC 期，III 期の黒色腫患者において，自己免疫の予後的意義を評価した．

進行中の大規模な無作為化試験の部分研究に，200 例の患者を登録した．血液の採取は，インターフェロン静注療法の開始前と治療の 1 ヵ月後，および 3，6，9，12 ヵ月後に行った．抗甲状腺，抗核，抗 DNA，抗カルジオリピン自己抗体について血清を検査し，患者を，白斑について診察した．

追跡期間の中央値は 45.6 ヵ月であった．再発は 115 例で起り，82 例が死亡した．無再発生存期間の中央値は 28.0 ヵ月で，全生存期間の中央値は 58.7 ヵ月であった．自己抗体および自己免疫の臨床的徴候は 52 例（26%）で検出された．無再発生存期間の中央値は，自己免疫のみられなかった患者では 16.0 ヵ月で（148 例中 108 例で再発），自己免疫のみられた患者では追跡期間中に中央値に達しなかった（52 例中 7 例で再発）．生存期間の中央値は，自己免疫のみられなかった患者では 37.6 ヵ月で（148 例中 80 例が死亡），自己免疫のみられた患者では中央値に達しなかった（52 例中 2 例が死亡）．単変量および多変量回帰分析では，自己免疫は，無再発生存期間と全生存期間の改善に対する独立した予後マーカーであった（P＜0.001）．

インターフェロンα-2b による治療中に，自己抗体および自己免疫の臨床的徴候が出現することは，黒色腫患者の無再発生存期間と全生存期間における，統計学的に有意な改善と関連している．