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February 23, 2006 Vol. 354 No. 8

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機能性ディスペプシアに対するイトプリドのプラセボ対照試験
A Placebo-Controlled Trial of Itopride in Functional Dyspepsia

G. Holtmann and Others

背景

機能性ディスペプシア患者の治療は依然として十分なものではない.機能性ディスペプシア患者を対象に,アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有するドパミン D2 受容体拮抗薬,イトプリドの有効性を評価した.

方 法

機能性ディスペプシア患者を,イトプリド(50 mg,100 mg,200 mg;1 日 3 回)またはプラセボのいずれかの投与に無作為に割付けた.投与 8 週間後に,以下の 3 つの主要エンドポイントについて解析した.3 つの主要エンドポイントは,機能性ディスペプシアの症状重症度のベースラインからの変化(Leeds Dyspepsia Questionnaire を用いて評価),患者による有効性の総合評価(無症状または症状が著明に改善した患者の割合),5 段階で評価した疼痛または膨満感の重症度とした.

結 果

患者 554 例を無作為に割付け,転帰に関するデータが得られた 523 例について解析した.8 週間後,無症状または症状が著明に改善した患者の割合は,イトプリド 50 mg,100 mg,200 mg の1 日 3 回投与群でそれぞれ 57%,59%,64%であったのに対し,プラセボ群では 41%であった(プラセボ群とイトプリド群の比較すべてで P<0.05).症状スコアは 4 群すべてで有意に改善したが,全体の解析では,イトプリド群がプラセボ群よりも有意に優れていたことが示され,100 mg 投与群と 200 mg 投与群において症状スコアがもっとも大きく改善した(-6.24 と -6.27,これに対しプラセボ群 -4.50;P=0.05).疼痛と膨満感の複合エンドポイントの解析では,イトプリド群のほうがプラセボ群よりも奏効率が高いことが示された(73% 対 63%,P=0.04).

結 論

イトプリドは機能性ディスペプシア患者の症状を有意に改善する.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00272103)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 832 - 40. )