The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 2, 2006 Vol. 354 No. 9

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

再発性多発性硬化症に対するナタリズマブの無作為化プラセボ対照試験
A Randomized, Placebo-Controlled Trial of Natalizumab for Relapsing Multiple Sclerosis

C.H. Polman and Others

背景

ナタリズマブ(natalizumab)は,新しいクラスの選択的接着分子阻害物質で最初の α4 インテグリン拮抗薬である.再発性多発性硬化症患者を対象とした,2 年間にわたるナタリズマブの第 3 相臨床試験の結果を報告する.

方 法

計 942 例の患者のうち,627 例をナタリズマブ群(用量 300 mg),315 例をプラセボ群に無作為に割付け,4 週ごとに 2 年以上,静脈内投与を行った.主要エンドポイントは,1 年の時点での臨床的再発と,2 年の時点での総合障害度(Expanded Disability Status Scale)で測定した障害の持続的な進行率とした.

結 果

障害の持続的な進行のリスクは,ナタリズマブにより 2 年間で 42%低下した(ハザード比 0.58,95%信頼区間 0.43~0.77,P<0.001).進行の累積確率(Kaplan-Meier 法による)は,ナタリズマブ群で 17%,プラセボ群で 29%であった.1 年の時点での臨床的再発率はナタリズマブにより 68%減少し(P<0.001),その結果,T2 強調磁気共鳴画像法(MRI)で検出される新規または拡大を示す高信号病変の累積数が,2 年間で 83%減少した(病変数の平均はナタリズマブ群 1.9 個,プラセボ群 11.0 個;P<0.001).ナタリズマブ群では,1 年の時点と 2 年の時点の両方で,病変数(ガドリニウム増強 MRI により検出)がプラセボ群よりも 92%少なかった(P<0.001).ナタリズマブ群でプラセボ群よりも有意に高頻度に認められた有害事象は,倦怠感(27% 対 21%,P=0.048)とアレルギー反応(9% 対 4%,P=0.012)であった.ナタリズマブ群の 25 例(4%)でなんらかの過敏反応が生じ,8 例(1%)では重大な過敏反応が生じた.

結 論

ナタリズマブは,再発性多発性硬化症患者において,障害の持続的な進行のリスクと臨床的再発率を低下させた.接着分子阻害物質は,再発性多発性硬化症に有効な治療薬として有望である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00027300)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 899 - 910. )