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September 7, 2006 Vol. 355 No. 10

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待機的経皮的冠動脈インターベンションにおけるエノキサパリンと未分画ヘパリンの比較
Enoxaparin versus Unfractionated Heparin in Elective Percutaneous Coronary Intervention

G. Montalescot and Others

背景

未分画ヘパリンは,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において,限界はあるものの標準的な抗凝固薬として使用されている.いくつかの小規模試験で,エノキサパリン(enoxaparin)の静脈内投与が,安全かつ有効な代替法である可能性が示唆されている.本試験では,待機的 PCI におけるエノキサパリンの安全性を,未分画ヘパリンの安全性と比較して評価することを主な目的とした.

方 法

この前向き非盲検多施設共同無作為化試験では,PCI を受ける患者 3,528 例を糖蛋白 IIB/IIIa 阻害薬使用の有無で層別化し,エノキサパリン投与群(0.5 mg/kg 体重,0.75 mg/kg 体重)または未分画ヘパリン投与群(活性化凝固時間に応じて調節)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,冠動脈バイパス術(CABG)とは関連のない,重大な出血または軽微な出血の発生率とした.主な副次的エンドポイントは,目標の抗凝固レベルに達した患者の割合とした.

結 果

エノキサパリン 0.5 mg/kg の投与により,PCI 後最初の 48 時間に,CABG とは関連のない出血の発生率が未分画ヘパリン投与と比較して有意に低下したが(5.9% 対 8.5%,絶対差 -2.6%,95%信頼区間 [CI] -4.7~-0.6,P=0.01),0.75 mg/kg 投与では有意な低下はみられなかった(6.5% 対 8.5%,絶対差 -2.0%,95% CI -4.0~0.0,P=0.051).重大な出血の発生率は,未分画ヘパリン群と比べて両方のエノキサパリン群で有意に低下した.目標の抗凝固レベルに達した患者数は,エノキサパリン群(0.5 mg/kg 投与群で 79%,0.75 mg/kg 投与群で 92%)のほうが,未分画ヘパリン群(20%)よりも有意に多かった(P<0.001).

結 論

待機的 PCI において,エノキサパリン 0.5 mg/kg の単回静脈内ボーラス投与により,出血の発生率が低下した.0.75 mg/kg 投与では,出血の発生率は未分画ヘパリン投与と同程度であったが,エノキサパリンのほうが抗凝固レベルは予測しやすかった.この試験の規模は,虚血イベントの予防における有効性を明確に比較するには十分ではなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00077844)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 1006 - 17. )