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September 21, 2006 Vol. 355 No. 12

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発作性夜間血色素尿症に対する補体阻害薬エクリズマブ
The Complement Inhibitor Eculizumab in Paroxysmal Nocturnal Hemoglobinuria

P. Hillmen and Others

背景

エクリズマブ(eculizumab)は,終末補体活性化を阻害する終末補体蛋白 C5 に対する,ヒト化モノクローナル抗体である.発作性夜間血色素尿症(PNH)患者におけるエクリズマブの安全性と有効性を検討した.

方 法

多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照第 3 相試験を実施した.患者に,プラセボまたはエクリズマブを経静脈的に投与した.エクリズマブは週 1 回 600 mg を 4 週間投与し,その 1 週間後に 900 mg を 1 回,その後 26 週目まで隔週で 900 mg 投与した.主要エンドポイントは,ヘモグロビン値の安定化と,輸血した赤血球濃厚液の単位数の 2 つとした.また,血管内溶血の生化学的指標と患者の QOL の評価を行った.

結 果

87 例の患者を無作為化した.輸血を行わずに,エクリズマブ群患者の 49%(43 例中 21 例)でヘモグロビン値の安定化が達成されたが,プラセボ群では達成された患者はいなかった(44 例中 0 例)(P<0.001).試験期間中に投与された赤血球濃厚液は,エクリズマブ群では中央値 0 単位であったのに対し,プラセボ群では中央値 10 単位であった(P<0.001).時間(日)に対して乳酸脱水素酵素(LDH)値をプロットした曲線下面積の中央値が,エクリズマブ群ではプラセボ群と比較して 85.8%低い(58,587 U/L 対 411,822 U/L,P<0.001)ことからも示されるように,エクリズマブにより血管内溶血が減少した.臨床的に有意な QOL の改善は,慢性疾患の治療と疲労に関する FACIT-Fatigue(P<0.001),および癌の QOL に関する EORTC QLQ-C30 のスコアでの評価からも認められた.87 例中,エクリズマブ群の 4 例とプラセボ群の 9 例で重篤な有害事象がみられたが,いずれも治療に関連したものではないと考えられ,全例が後遺症なく回復した.

結 論

エクリズマブは PNH に対する有効な治療法である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00122330)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 1233 - 43. )