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September 28, 2006 Vol. 355 No. 13

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輸血によるヒトヘルペスウイルス 8 型の伝播
Transmission of Human Herpesvirus 8 by Blood transfusion

W. Hladik and Others

背景

ヒトヘルペスウイルス 8 型(HHV-8)が輸血によって伝播するかどうかは明らかにされていない.HHV-8 の流行地域であるウガンダにおいて,輸血による HHV-8 伝播のリスクを評価した.

方 法

ウガンダのカンパラで,2000 年 12 月~2001 年 10 月に輸血を受けた患者を登録した.HHV-8 抗体の有無について,輸血前の血液検体と輸血後の複数の血液検体を検査した.輸血後の血液検体は,6 ヵ月間で最大 9 回行われた追跡検査時に採取した.HHV-8 血清陰性血液の受血者を対照として,HHV-8 血清陽性血液の受血者におけるセロコンバージョンの超過リスクを経時的に算出した.

結 果

登録した受血者 1,811 例のうち,991 例が輸血前に HHV-8 血清陰性であり,必要な追跡調査を完了した.991 例のうち,43%は HHV-8 血清陽性の血液の輸血を受け,57%は血清陰性の血液の輸血を受けた.HHV-8 のセロコンバージョンは,991 例中 41 例で発生した.HHV-8 血清陽性血液の受血者のほうが,HHV-8 血清陰性血液の受血者と比べて,セロコンバージョンのリスクが有意に高かった(超過リスク 2.8%,P<0.05).リスクの上昇は,主に輸血の 3~10 週間後にセロコンバージョンを起した患者で認められ(超過リスク 2.7%,P=0.005),輸血による他のヘルペスウイルス感染と一致する結果であった.保存 4 日以内の血液ユニットでのセロコンバージョンの発生頻度は,4 日以上保存した血液ユニットと比べて高かった(超過リスク 4.2%,P<0.05).

結 論

この試験結果は,HHV-8 が輸血によって伝播することを示す強力な根拠である.しかしそのリスクは,血液の保存期間が長くなるほど低下する可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 1331 - 8. )