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October 12, 2006 Vol. 355 No. 15

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結核診断における顕微鏡観察による薬剤感受性検査
Microscopic-Observation Drug-Susceptibility Assay for the Diagnosis of TB

D.A.J. Moore and Others

背景

結核および多剤耐性結核の感染を阻止するため,新しい診断法が緊急に必要とされている.顕微鏡観察による薬剤感受性(MODS)検査により,喀痰中の結核菌や多剤耐性結核菌が迅速かつ高い感度で検出されることが,原理検証(proof-of-principle)研究で実証されている.この検査では,顕微鏡を用いて培養から特徴的な増殖を検出する.

方 法

結核プログラムが実践されているペルーの施設で,培養と薬剤感受性検査に対する MODS 検査の能力を調査した.対象群は,無作為に抽出した結核の疑われる患者,事前に選別した結核および多剤耐性結核のリスクが高い患者,無作為に抽出したヒト免疫不全ウイルス感染入院患者の 3 群とした.MODS 検査を,結核菌の自動培養と Lowenstein-Jensen 培地による培養という 2 つの標準法を対照として,head-to-head で比較した.

結 果

喀痰 3,760 検体中,401 検体(10.7%)が結核菌(Mycobacterium tuberculosis)陽性であった.検出感度は MODS 培養で 97.8%,結核菌自動培養で 89.0%, Lowenstein-Jensen 培養で 84.0%であった(P<0.001).また,培養陽性までの時間の中央値はそれぞれ 7 日,13 日,26 日で(P<0.001),感受性検査の結果が得られるまでの時間の中央値はそれぞれ 7 日,22 日,68 日であった.2 回目の MODS 培養による利益の増加はごくわずかで,とくに結核および多剤耐性結核のリスクが高い患者で小さかった.MODS と標準法における感受性の一致率は,リファンピンで 100%,イソニアジドで 97%,リファンピンとイソニアジド(多剤耐性についての結果を組み合せたもの)で 99%,エタンブトールで 95%,ストレプトマイシンで 92%であった(k 値はそれぞれ 1.0,0.89,0.93,0.71,0.72).

結 論

喀痰検体の単回の MODS 培養は,結核および多剤耐性結核の検出法として,現在使用されている標準的な方法よりも迅速かつ感度の高い方法である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 1539 - 50. )