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October 19, 2006 Vol. 355 No. 16

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出生時の低肺機能と 10 歳の時点での喘息リスク
Reduced Lung Function at Birth and the Risk of Asthma at 10 Years of Age

G. Håland and Others

背景

乳児期早期の低肺機能は,その後の閉塞性気道疾患と関連している.出生直後における低肺機能が,10 年後の喘息の予測につながるかどうかを評価した.

方 法

健常乳児を対象に前向き出生コホート研究を実施した.802 例については,1 回換気量のフローボリューム曲線(最大 1 回換気量における最大呼気流量 [PEF] までの呼気時間の比 [tPTEF/tE])を用い,664 例については,呼吸器系コンプライアンスを含む受動的呼吸メカニクスを用いて,出生直後の肺機能を測定した.10 歳の時点で,616 例(77%)について,肺機能,運動誘発性気管支収縮,気道過敏性(メタコリン吸入による)の測定,ならびに喘息の既往および現在の喘息の有無を決定するための構造化面接によって再評価を行った.

結 果

出生直後の tPTEF/tE が中央値以下の小児は,中央値を超える小児と比較して,10 歳の時点で喘息の既往歴(24.3% 対 16.2%,P=0.01),喘息の現病歴(14.6% 対 7.5%,P=0.005),重度の気道過敏性(1.0 μmol 未満のメタコリンで 1 秒量 [FEV1] の 20%の低下をきたすと定義)(9.1% 対 4.9%,P=0.05)を有する傾向が高かった.呼吸器系コンプライアンスが中央値以下の小児は,中央値を超える小児と比較して,喘息の既往歴(27.4% 対 14.8%,P=0.001)と現病歴(15.0% 対 7.7%,P=0.009)を有する傾向がより高かったが,この指標は後の肺機能測定結果とは関連しなかった.10 歳の時点で,出生時の tPTEF/tE は,最大呼気中間流量と弱い相関を示したが(r=0.10,P=0.01),FEV1 や努力肺活量(FVC)とは相関しなかった.

結 論

出生時の低肺機能は,10 歳までの喘息リスクの上昇と関連する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 1682 - 9. )