October 26, 2006 Vol. 355 No. 17
抗凝固療法の期間を決定するための D ダイマー検査
D-Dimer Testing to Determine the Duration of Anticoagulation Therapy
G. Palareti and Others
特発性の静脈血栓塞栓症患者に対する経口抗凝固療法の最適な期間は不明である.D ダイマー検査は,長期の抗凝固療法の必要性を評価するために役立つ可能性がある.
原因不明の近位深部静脈血栓症または肺塞栓症を初発し,ビタミン K 拮抗薬の投与を 3 ヵ月以上受けた患者において,抗凝固療法の中止から 1 ヵ月後に D ダイマー検査を行った.D ダイマー値が正常な患者では抗凝固療法を再開せず,D ダイマー値が異常な患者は,抗凝固療法の再開または中止のいずれかに無作為に割り付けた.試験の転帰は,平均追跡期間 1.4 年間における静脈血栓塞栓症の再発と重大な出血の複合とした.
608 例中 223 例(36.7%)で D ダイマー値が異常であった.抗凝固療法を再開した 103 例では 3 件のイベント(2.9%)が発生したのに対し,抗凝固療法を中止した 120 例では計 18 件(15.0%)であった.補正ハザード比は 4.26(95%信頼区間 [CI] 1.23~14.6,P=0.02)であった.D ダイマー値が正常な患者 385 例中,24 例(6.2%)で血栓塞栓症が再発した.抗凝固療法を中止した患者において,D ダイマー値が異常な患者の血栓塞栓症再発に関する補正ハザード比は,D ダイマー値が正常な患者と比較して 2.27(95% CI 1.15~4.46,P=0.02)であった.
抗凝固療法の中止から 1 ヵ月後に D ダイマー値が異常な患者では,静脈血栓塞栓症の再発率が有意に高いが,抗凝固療法を再開すると低下する.D ダイマー値が正常な患者における抗凝固療法の最適な治療コースは,明確には確立されない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00264277)