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November 9, 2006 Vol. 355 No. 19

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女性における低炭水化物食スコアと冠動脈性心疾患リスク
Low-Carbohydrate-Diet Score and the Risk of Coronary Heart Disease in Women

T.L. Halton and Others

背景

低炭水化物食は体重減少と肥満防止に推奨されているが,その長期的安全性は明らかにされていない.

方 法

看護師健康調査(Nurses' Health Study)に登録された女性で,妥当性が確認されている食物摂取頻度調査票に回答した,82,802 人に関するデータを評価した.調査票のデータは,炭水化物,脂質,蛋白質のエネルギー比率に基づいた低炭水化物食スコアを計算するために用いた(スコアが高いほど脂質と蛋白質の摂取量が多く,炭水化物の摂取量が少ないことを示す).低炭水化物食スコアと冠動脈性心疾患リスクとの関連を検討した.

結 果

20 年間の追跡期間中,1,994 件の冠動脈性心疾患の新規発症例を認めた.多変量補正後,低炭水化物食スコアの最高十分位群と最低十分位群を比較した冠動脈性心疾患の相対リスクは,0.94 であった(95%信頼区間 [CI] 0.76~1.18,傾向性の P=0.19).炭水化物,動物性蛋白質,動物性脂質のエネルギー比率に基づいた低炭水化物食スコアの最高十分位群と最低十分位群を比較した相対リスクは,0.94 であった(95% CI 0.74~1.19,傾向性の P=0.52).一方,炭水化物,植物性蛋白質,植物性脂質の摂取エネルギー比率に基づいた相対リスクは 0.70 であった(95% CI 0.56~0.88,傾向性の P=0.002).より高い糖負荷は,冠動脈性心疾患のリスク上昇と強く関連していた(最高十分位群と最低十分位群を比較した相対リスク 1.90,95% CI 1.15~3.15,傾向性の P=0.003).

結 論

今回の知見から,炭水化物がより少なく,蛋白質や脂質のより多い食事は,女性の冠動脈性心疾患リスクの上昇とは関連しないことが示唆される.植物由来の脂質や蛋白質を選べば,このような食事により冠動脈性心疾患リスクが中等度減少する可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 1991 - 2002. )