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November 30, 2006 Vol. 355 No. 22

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CD4 陽性細胞数に基づく抗レトロウイルス療法の中断
CD4+ Count–Guided Interruption of Antiretroviral Treatment

The SMART Study Group

背景

抗レトロウイルス療法の導入により障害と死亡が低下するにもかかわらず,その有効性は,有害事象,遵守の問題,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の耐性によって制限される.

方 法

CD4 陽性細胞数が 350 個/mm3 を超える HIV 感染者を,継続的な抗レトロウイルス療法(ウイルス抑制群)と断続的な抗レトロウイルス療法(投薬管理群)に無作為に割り付けた.断続的に治療を行う群では,CD4 陽性細胞数が 250 個/mm3 未満に低下するまで治療を延期し,その後 CD4 陽性細胞数が 350 個/mm3 を超えるまで治療を継続した.主要エンドポイントは,日和見疾患または全死因死亡の発生とした.重要な副次的エンドポイントは,重大な心血管疾患,腎疾患,肝疾患とした.

結 果

計 5,472 例(投薬管理群 2,720 例,ウイルス抑制群 2,752 例)を,投薬管理群のプロトコール変更前に,平均で 16 ヵ月間追跡した.ベースラインでは,CD4 陽性細胞数の中央値は 597 個/mm3,最低値は 250 個/mm3 であり,被験者の 71.7%では血漿 HIV RNA 量が 400 コピー/mL 以下であった.日和見疾患または全死因死亡は,投薬管理群で 120 例(3.3 件/100 人年),ウイルス抑制群で 47 例(1.3 件/100 人年)で発生した(投薬管理群 対 ウイルス抑制群のハザード比 2.6,95%信頼区間 [CI] 1.9~3.7,P<0.001).全死因死亡および重大な心血管疾患・腎疾患・肝疾患のハザード比は,それぞれ 1.8(95% CI 1.2~2.9,P=0.007),1.7(95% CI 1.1~2.5,P=0.009)であった.最後に測定した CD4 陽性細胞数と HIV RNA 量(時間依存性の共変量)で補正した結果,主要エンドポイントのハザード比は 2.6 から 1.5 に低下した(95% CI 1.0~2.1).

結 論

この試験で用いた CD4 陽性細胞数に基づく断続的な抗レトロウイルス療法により,継続的な抗レトロウイルス療法と比較して,日和見疾患や全死因死亡のリスクが有意に上昇した.これは主に,CD4 陽性細胞数の減少とウイルス量の増加によるものである.抗レトロウイルス療法を中断しても,抗レトロウイルス療法と関連する有害事象のリスクは低下しない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00027352)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 2283 - 96. )