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December 7, 2006 Vol. 355 No. 23

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心筋梗塞後の持続性閉塞に対する冠動脈インターベンション
Coronary Intervention for Persistent Occlusion after Myocardial Infarction

J.S. Hochman and Others

背景

梗塞責任冠動脈の完全閉塞が持続し,病状が安定している高リスク患者において,現在心筋サルベージが可能であると考えられている期間を経過後,続発するイベントのリスクを減少させるために,最適な薬物療法に加え経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行すべきかどうかは不明である.

方 法

心筋梗塞発症から 3~28 日後に,梗塞責任冠動脈の完全閉塞が確認された患者で,高リスク基準(駆出率 50%未満または近位部の閉塞)を満たした患者のうち,病状が安定していた 2,166 例を対象として,無作為化試験を実施した.これらの患者のうち,1,082 例をルーチンの PCI およびステント留置術に加え最適な薬物療法を行う群に,1,084 例を最適な薬物療法のみを行う群に割り付けた.主要エンドポイントは,死亡,心筋梗塞の再発,ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association;NYHA)分類 IV 度の心不全の複合とした.

結 果

主要エンドポイントの 4 年累積発生率は,PCI 群で 17.2%,薬物療法群で 15.6%であった(薬物療法群と比較した場合の PCI 群の死亡,心筋梗塞の再発,心不全のハザード比 1.16;95%信頼区間 [CI] 0.92~1.45;P=0.20).両群の心筋梗塞(致死的および非致死的)の再発率は,それぞれ 7.0%,5.3%であった(ハザード比 1.36,95% CI 0.92~2.00,P=0.13).非致死的梗塞の再発率は,それぞれ 6.9%,5.0%であった(ハザード比 1.44,95% CI 0.96~2.16,P=0.08).割り付けた PCI 手技と関連していた心筋梗塞の再発はわずか 6 件(0.6%)であった.NYHA 分類 IV 度の心不全(4.4% 対 4.5%)と死亡(9.1% 対 9.4%)の発生率は同程度であった.治療効果とサブグループの変数(年齢,性別,人種または民族,梗塞責任冠動脈,駆出率,糖尿病,Killip 分類,心筋梗塞から無作為化までの期間)とのあいだに交互作用は認められなかった.

結 論

PCI により,死亡,心筋梗塞の再発,心不全の発生率は低下しなかった.また,PCI 群では,心筋梗塞発症から 3~28 日後に梗塞責任冠動脈の閉塞が確認され,病状が安定していた患者において,4 年の追跡期間中では心筋梗塞の再発がより多い傾向が認められた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00004562)

本論文は,2006 年 11 月 14 日 www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 2395 - 407. )