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December 7, 2006 Vol. 355 No. 23

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ロシグリタゾン,メトホルミン,グリブリドの単剤療法による血糖コントロールの持続性
Glycemic Durability of Rosiglitazone, Metformin, or Glyburide Monotherapy

S.E. Kahn and Others

背景

2 型糖尿病の長期的血糖コントロール維持において,他の経口血糖降下薬と比較したチアゾリジンジオン系薬剤の有効性については明らかにされていない.

方 法

4,360 例の患者を対象とした無作為化二重盲検比較試験において,新たに診断された 2 型糖尿病に対する初期治療薬としてのロシグリタゾン(rosiglitazone),メトホルミン,グリブリド(glyburide;グリベンクラミド)を評価した.患者は,中央値 4.0 年間治療を受けた.主要転帰は単剤療法失敗までの期間とし,メトホルミンまたはグリブリドと比較して,ロシグリタゾンで 180 mg/dL(10.0 mmol/L)を超える空腹時血糖値が確認されることと定義した.事前に規定した副次的転帰は,空腹時血糖値と糖化ヘモグロビン値,インスリン感受性,β 細胞機能とした.

結 果

Kaplan-Meier 解析では,5 年の時点での単剤療法失敗の累積発生率は,ロシグリタゾンで 15%,メトホルミンで 21%,グリブリドで 34%であった.これは,ロシグリタゾンにおいて,メトホルミンとの比較で 32%のリスク低下,グリブリドとの比較で 63%のリスク低下を表している(両比較について P<0.001).治療効果の持続期間における差は,ロシグリタゾン-メトホルミン間よりもロシグリタゾン-グリブリド間のほうが大きかった.グリブリドではロシグリタゾンよりも心血管イベント(うっ血性心不全を含む)のリスクが低く(P<0.05),メトホルミンに関連するリスクはロシグリタゾンに関連するリスクと同程度であった.ロシグリタゾンでは,メトホルミンやグリブリドよりも体重増加や浮腫が多くみられたが,メトホルミンよりも消化管イベントは少なく,グリブリドよりも低血糖は少なかった(すべての比較について P<0.001).

結 論

これら 3 薬剤のリスクの可能性と利益,有害イベントの特徴,費用はすべて,2 型糖尿病患者に薬物療法の選択肢を伝えるさいの一助として考慮すべきである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00279045)

本論文は,2006 年 12 月 4 日 www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 2427 - 43. )