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December 21, 2006 Vol. 355 No. 25

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人工呼吸器関連肺炎の診断技術に関する無作為化試験
A Randomized Trial of Diagnostic Techniques for Ventilator-Associated Pneumonia

The Canadian Critical Care Trials Group

背景

人工換気を必要とする重症患者では,人工呼吸器関連肺炎の危険がある.人工呼吸器関連肺炎の疑いのある患者に対する最適な診断法に関して,現在あるデータは一致していない.

方 法

多施設共同試験において,集中治療室(ICU)で人工換気を受け,4 日後以降に人工呼吸器関連肺炎の疑いをもたれた免疫能の正常な成人を,気管支肺胞洗浄液の定量培養を行う気管支肺胞洗浄群と,吸引物の非定量培養を行う気管内吸引群に無作為に割り付けた.シュードモナス属細菌またはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の保菌あるいは感染が判明した患者は除外した.培養結果が入手できるまで患者全員に対し経験的抗菌薬治療を開始し,結果が出た時点で標的治療のプロトコールを用いて,抗菌薬の投与を中止するか用量または種類を減らすかした.培養が陰性の場合は,組入れ前の状態を治療するため抗菌薬治療を再開した.

結 果

カナダと米国の ICU 28 ヵ所において患者 740 例を組み入れた.主要評価項目(28 日目の死亡率)について,気管支肺胞洗浄群と気管内吸引群のあいだに有意差はなかった(18.9%と 18.4%,P=0.94).また,気管支肺胞洗浄群と気管内吸引群は,標的治療の施行率(74.2%と 74.6%,P=0.90),抗菌薬を使用せずに生存した日数(10.4±7.5 日と 10.6±7.9 日,P=0.86),臓器不全の最大スコア(平均 [±SD] 8.3±3.6 点と 8.6±4.0 点,P=0.26)も同等であった.ICU 滞在期間あるいは入院期間について,両群に有意差はなかった.

結 論

人工呼吸器関連肺炎に対する 2 種類の診断法である,気管支肺胞洗浄液の定量培養を行う気管支肺胞洗浄法と吸引物の非定量培養を行う気管内吸引法では,臨床転帰と全体的な抗菌薬の使用状況について同等の結果が得られた.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN51767272)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 2619 - 30. )