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December 28, 2006 Vol. 355 No. 26

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HER2 陽性進行乳癌に対するラパチニブとカペシタビンの併用投与
Lapatinib plus Capecitabine for HER2-Positive Advanced Breast Cancer

C.E. Geyer and Others

背景

ラパチニブ(lapatinib)は,ヒト上皮成長因子受容体 2(HER2,HER2/neu とも呼ばれる)と上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼ阻害薬であり,HER2 陽性転移性乳癌で,トラスツズマブベースの治療後に癌が進行した女性において,カペシタビンとの併用で有効性を示す.この臨床試験では,これらの患者を対象に,ラパチニブとカペシタビンの併用投与をカペシタビン単独投与と比較した.

方 法

アントラサイクリン,タキサン,トラスツズマブを含むレジメンでの治療後に癌が進行した HER2 陽性の局所進行乳癌または転移性乳癌の女性を,併用投与群(ラパチニブ 1,250 mg/日を連日投与+カペシタビン 2,000 mg/m2 体表面積を 21 日サイクルの 1~14 日目に投与)と単独投与群(カペシタビン 2,500 mg/m2 のみを 21 日サイクルの 1~14 日目に投与)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,盲検下での独立した評価者の評価に基づく無増悪生存期間とした.

結 果

無増悪生存期間の中間解析は,併用投与群の優位性に基づき早期に報告するという規定の基準を満たした.独立して評価した無増悪生存期間のハザード比は 0.49 であり(95%信頼区間 0.34~0.71,P<0.001),イベントの発生件数は併用投与群で 49 件,単独投与群で 72 件であった.無増悪生存期間の中央値は,併用投与群で 8.4 ヵ月,単独投与群で 4.4 ヵ月であった.この改善に伴う重篤な毒性作用や症候性心イベントの増加はみられなかった.

結 論

ラパチニブとカペシタビンの併用は,アントラサイクリン,タキサン,トラスツズマブを含むレジメンで治療後に進行した HER2 陽性進行乳癌の女性において,カペシタビン単独よりも優れている.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00078572)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 2733 - 43. )