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July 27, 2006 Vol. 355 No. 4

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英国における家庭医の成果主義プログラム
Pay-for-Performance Programs in Family Practices in the United Kingdom

T. Doran and Others

背景

2004 年,英国国民健康サービス(National Health Service)は,医療の質の大幅な改善と関連する国家的なイニシアチブのあとに,家庭医の成果主義契約を導入した.この契約により,10 種の慢性疾患の治療,ケアの組織化,患者経験を含む 146 の質の指標に関する成果に基づいて,現在の収入は増加している.

方 法

英国の家庭医 8,105 人について,成果主義プログラム初年度(2004 年 4 月~2005 年 3 月)に臨床コンピュータシステムから自動的に抽出したデータ,英国国勢調査のデータ,個々の家庭医の特性に関するデータを解析した.ある臨床的な質の指標に該当すると考えられる患者に占める指標を達成した患者の割合(達成報告)と,ある疾患の患者総数に占める質の指標を達成した患者の割合(達成集団)を検討し,重回帰分析を用いて,患者を「質の指標に該当しない」と分類することで(除外報告),医師が高スコアを達成した程度を判定した.

結 果

初年度に報告された達成率の中央値は,83.4%(四分位範囲 78.2~87.0%)であった.患者の社会人口学的特性(年齢や社会経済的特徴)と診療所の社会人口学的特性(診療規模,医師 1 人当りの患者数,医師の年齢,医師が英国で医学教育を受けたか否か)は,成果に対し,中等度ではあるが有意な影響を示した.医師による除外報告は,多数ではなかったが(中央値 6%),達成率のもっとも強力な予測因子であり,除外報告率が 1%上昇すると,報告された達成率が 0.31%上昇した.除外報告は少数の医師において高く,1%の医師では,除外した患者が 15%を超えていた.

結 論

英国の家庭医は,新しい成果主義契約初年度の達成水準が高かった.少数の医師は,除外報告により多数の患者を除外することで,高スコアを達成したと考えられる.これらの医師が臨床的に妥当な理由で患者を除外したのか,収入を増加させるために除外したのかを決定するには,さらに研究を行う必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 375 - 84. )