スウェーデンにおける薬剤溶出ステントとベアメタルステントの長期転帰の比較
Long-Term Outcomes with Drug-Eluting Stents versus Bare-Metal Stents in Sweden
B. Lagerqvist and Others
最近の報告では,薬剤溶出ステントを使用した場合,ベアメタルステントと比較して遅発性ステント血栓症のリスクが増加する可能性のあることが指摘されている.
スウェーデン冠動脈造影術・冠動脈形成術登録(Swedish Coronary Angiography and Angioplasty Registry)を用いて,2003 年と 2004 年に薬剤溶出ステントによる治療を受けた患者 6,033 例と,ベアメタルステントによる治療を受けた患者 13,738 例を評価した.死亡 1,424 件および心筋梗塞 2,463 件をもとに,患者背景の差を補正し,最長 3 年間の転帰解析を行った.
3 年間の追跡調査期間中,死亡と心筋梗塞の複合に 2 群間で統計学的差はみられなかった.6 ヵ月の時点での未補正イベント発生率は,薬剤溶出ステント群のほうがベアメタルステント群よりも低い傾向がみられ,それらのイベントは患者 1,000 例当り 13.4 件少なかった.しかし,6 ヵ月以降は,薬剤溶出ステント群のほうがイベント発生率が有意に高くなり,年間で患者 1,000 例当り 12.7 件多くなった(補正相対リスク 1.20,95%信頼区間 [CI] 1.05~1.37).3 年後の時点では,死亡率は薬剤溶出ステント群のほうが有意に高く(補正相対リスク 1.18,95% CI 1.04~1.35),6 ヵ月から 3 年後には,この群の死亡に対する補正相対リスクは 1.32 であった(95% CI 1.11~1.57).
薬剤溶出ステントでは,ベアメタルステントと比べて死亡率が高くなった.この傾向は 6 ヵ月以降に認められ,死亡リスクは年間 0.5%ポイント高くなり,死亡と心筋梗塞の複合は年間 0.5~1.0%ポイント高くなった.薬剤溶出ステントの長期的安全性を,大規模無作為化試験で確認する必要がある.
本論文(10.1056/NEJMoa067722)は,2007 年 2 月 12 日 www.nejm.org で発表された.