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March 15, 2007 Vol. 356 No. 11

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メディケアにおける医療提供パターンと Pay for Performance に対するその意義
Care Patterns in Medicare and Their Implications for Pay for Performance

H.H. Pham and Others

背景

メディケアでの pay for performance(実績に対する支払い)は,2 つの仮定のもとで実施されている.1 つは,請求データを用いることで,患者を,その医療に対して主要責任を負う 1 人の医師または 1 つの診療所に割り当てることができるという仮定である.もう 1 つは,医師が提供する医療の大部分は,その医師が主要責任を負う患者に対して行われているという仮定である.

方 法

2000 年と 2001 年の地域追跡研究・医師調査に回答した医師 8,604 人から治療を受けた,出来高払いによるメディケア制度に登録している受給者 179 万例に対する 2000~02 年のメディケア請求を分析した.個々の分析において,各患者を,その患者がもっとも多く受診した医師またはプライマリケア医に割り当てた.1 年間に受診した医師および診療所の数,割り当てられた医師または診療所から受けた治療の割合,長期にわたる割当ての持続性,医師に割り当てられた患者におけるメディケア患者の割合を明らかにした.

結 果

受給者は,中央値で,4 つの異なる診療所の,2 人のプライマリケア医と,5 人の専門医を受診した.受給者による受診のうち,毎年中央値 35%が割り当てられた医師への受診であった.受給者の 33%では,割り当てられた医師が毎年変化した.医師への全受診に基づくと,プライマリケア医に割り当てられた患者は,メディケア患者の中央値 39%を占め,メディケア受診の 62%を占めていた.専門医の場合は,それぞれ 6%と 10%であった.プライマリケア医のみへの受診に基づくと,受給者の 79%が 1 人の医師へ割り当てられ,受給者の受診の中央値 31%は割り当てられたプライマリケア医への受診であった.

結 論

出来高払い制のメディケアにおいて,患者の受ける医療が複数の医師に分散することは,患者への医療に対して責任を割り当てるという,単一の後ろ向き手法に基づく pay for performance のイニシアティブの有効性を制限する可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 1130 - 9. )