The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 11, 2007 Vol. 356 No. 2

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

刑務所からの出所 ― 元受刑者における死亡リスクの上昇
Release from Prison - A High Risk of Death for Former Inmates

I.A. Binswanger and Others

背景

米国には多くの元受刑者がおり,その数は現在もふえ続けている.元受刑者にとって出所直後の状況は過酷なことが多く,多くの健康リスクを伴う可能性がある.ワシントン州の刑務所から出所したばかりの元受刑者における死亡リスクを調べた.

方 法

1999 年 7 月~2003 年 12 月にワシントン州矯正局から出所したすべての受刑者を対象に,後ろ向きコホート研究を行った.服役記録を National Death Index とリンクさせた.ワシントン州住民と比較するため,住民のデータを米国疾病対策予防センター(CDC)の Wide-ranging OnLine Data for Epidemiologic Research システムから得た.間接法による標準化を用いて,年齢,性別,人種について補正し,元受刑者の死亡率を他のワシントン州住民の死亡率と比較した.

結 果

出所した元受刑者 30,237 人中,443 人が平均 1.9 年間の追跡期間中に死亡した.全死亡率は,100,000 人・年当り 777 件であった.元受刑者における死亡の補正リスクは,他の住民の 3.5 倍であった(95%信頼区間 [CI] 3.2~3.8).出所後の最初の 2 週間では,元受刑者の死亡リスクは他の住民の 12.7 倍であり(95% CI 9.2~17.4),薬物の過剰摂取による死亡の相対リスクが顕著に高かった(129 倍,95% CI 89~186).元受刑者における主な死因は,薬物の過剰摂取,心血管疾患,殺人,自殺であった.

結 論

元受刑者は刑務所出所後の死亡リスクが高く,とくに最初の 2 週間が高かった.刑務所出所後の死亡リスクを低下させるために,介入を行う必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 157 - 65. )