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April 26, 2007 Vol. 356 No. 17

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抗レトロウイルス薬のクラスと心筋梗塞のリスク
Class of Antiretroviral Drugs and the Risk of Myocardial Infarction

The DAD Study Group

背景

われわれは以前,抗レトロウイルス併用療法と心筋梗塞のリスクとの関連性を明らかにしたが,この関連性が,抗レトロウイルス薬のクラスによって異なるのかどうかは明らかでない.プロテアーゼ阻害薬および非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬への累積曝露と心筋梗塞のリスクとの関連性を調べるため,研究を行った.

方 法

ヒト免疫不全ウイルスに感染した患者 23,437 例を対象とした先行の前向き観察研究から,2005 年 2 月までに収集したデータを分析した.追跡調査期間中の心筋梗塞の発生率を算出し,心筋梗塞とプロテアーゼ阻害薬または非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬への曝露との関連を検討した.

結 果

94,469 人年の観察期間中,345 例が心筋梗塞を発症した.心筋梗塞の発生率は,プロテアーゼ阻害薬に曝露しなかった患者では 1.53/1,000 人年であったのに対し,プロテアーゼ阻害薬に 6 年以上曝露した患者では 6.01/1,000 人年まで上昇した.ほかの薬剤クラスに対する曝露および確立された心血管リスク因子(脂質濃度を除く)で補正したところ,プロテアーゼ阻害薬に対する曝露 1 年当りの心筋梗塞の相対発生率は 1.16(95%信頼区間 [CI] 1.10~1.23)であったのに対し,非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬に対する曝露 1 年当りの相対発生率は 1.05(95% CI 0.98~1.13)であった.血清脂質濃度で補正したところ,各薬剤クラスに対する曝露の影響はさらに低下し,それぞれ 1.10(95% CI 1.04~1.18),1.00(95% CI 0.93~1.09)となった.

結 論

プロテアーゼ阻害薬への曝露の増加は心筋梗塞のリスク上昇と関連するが,この関連の一部は脂質代謝異常により説明される.非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬にはこうした関連を示す証拠は認められなかったが,この薬剤クラスへの曝露に関する観察人年はプロテアーゼ阻害薬への曝露よりも少なかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 1723 - 35. )