極低出生体重児であった若年成人の血糖調節能
Glucose Regulation in Young Adults with Very Low Birth Weight
P. Hovi and Others
出生時の低体重とその後の血糖調節障害との関連は,満期で出生した人では十分に証明されている.極低出生体重児(1,500 g 未満)の早期産も,小児期のインスリン抵抗性との関連が認められている.成人期になってもインスリン抵抗性が持続するならば,極低出生体重児の早期産は成人期の疾患リスクの増大とも関連している可能性がある.極低出生体重であった若年成人において,耐糖能とインスリン感受性を評価し,血清脂質濃度と血圧を測定した.
極低出生体重児であった若年成人 163 例(18~27 歳)と,満期で出生し在胎週数に比して低体重ではなかった若年成人 169 例を対象に,標準的な 75 g 経口ブドウ糖負荷試験を実施し,負荷前と負荷後 120 分のインスリン濃度と血糖値を測定した.2 群は,年齢,性別,出生病院に関してほぼ同等であった.血圧と血清脂質濃度を測定し,極低出生体重児であった 150 例と満期産の 136 例については,二重エネルギー X 線吸収法により身体組成も測定した.
極低出生体重児であった被験者では,満期産の被験者と比べて,2 時間血糖値が 6.7%高く(95%信頼区間 [CI] 0.8~12.9),空腹時インスリン濃度は 16.7%(95% CI 4.6~30.2),2 時間インスリン濃度は 40.0%高かった(95% CI 17.5~66.8).また,恒常性モデル評価によって決定したインスリン抵抗性指数は 18.9%高く(95% CI 5.7~33.7),収縮期血圧は 4.8 mmHg 高かった(95% CI 2.1~7.4).極低出生体重児であった被験者について除脂肪体重で補正しても,これらの関係は減弱しなかった.
極低出生体重児であった若年成人では,満期産であった若年成人と比べて,インスリン抵抗性および耐糖能異常の指数が高く,血圧も高い.