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January 18, 2007 Vol. 356 No. 3

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腫瘍形成性乳癌細胞の遺伝子特性の予後予測における役割
The Prognostic Role of a Gene Signature from Tumorigenic Breast-Cancer Cells

R. Liu and Others

背景

乳癌には,CD44 の発現がみられても,CD24 の発現レベルが低いか検出できない(CD44+CD24-/low)という特性をもった癌細胞が少数含まれるが,これらは他のサブタイプの癌細胞より腫瘍形成性が高い.

方 法

CD44+CD24-/low の腫瘍形成性乳癌細胞の遺伝子発現プロファイルを,正常な乳腺上皮のプロファイルと比較した.発現の異なる 186 の遺伝子を用いて「侵襲性」遺伝子特性(IGS)を作成し,乳癌患者あるいは他の癌患者において,全生存および無転移生存と IGS との関連について評価した.

結 果

乳癌患者では,IGS は全生存と無転移生存の両方と有意な関連があり(いずれも P<0.001),この関連は従来の臨床変数および病理学的変数から独立していた.米国国立衛生研究所(NIH)の予後予測基準と組み合せた場合,IGS は,高リスクの早期乳癌患者を予後予測のカテゴリー(良好または不良)に層別化するために用いた.予後良好な患者では,10 年無転移生存率は 81%であり,予後不良な患者では 57%であった.IGS は,髄芽腫(P=0.004),肺癌(P=0.03),前立腺癌(P=0.01)の予後予測とも関連があった.IGS の予後予測能は,傷害応答(WR)特性と組み合せると上昇した.

結 論

4 種類の異なるタイプの腫瘍に関して,IGS は,無転移生存および全生存と強い関連があった.乳癌では,この腫瘍形成性乳癌細胞の遺伝子特性は,WR 特性と組み合せることで臨床転帰とさらに強い関連を示した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 217 - 26. )