早期産児に対するフルコナゾールの予防的投与の多施設共同無作為化試験
A Multicenter, Randomized Trial of Prophylactic Fluconazole in Preterm Neonates
P. Manzoni and Others
侵襲性カンジダ感染症は,早期産児の疾病と死亡の主な原因である.極低出生体重児に対する,真菌の保菌と真菌感染の予防を目的としたフルコナゾール投与に関して,多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した.
イタリアの第三次新生児集中治療室 8 ヵ所において,15 ヵ月間に出生した出生時体重 1,500 g 未満の新生児全例(322 例)を,出生から生後 30 日まで(出生時体重 1,000 g 未満の新生児については 45 日まで)フルコナゾール(1 回につき体重 1 kg 当り 6 mg または 3 mg)またはプラセボの投与を受ける群に無作為に割り付けた.監視培養と系統的な真菌感受性検査を毎週行った.
真菌の保菌が確認されたのは,フルコナゾール群の新生児では 6 mg 群で 9.8%,3 mg 群で 7.7%であったのに対し,プラセボ群では 29.2%であった(プラセボ群との比較で,両フルコナゾール群で P<0.001).侵襲性真菌感染症の発生率は,6 mg 群で 2.7%,3 mg 群で 3.8%であったのに対し,プラセボ群では 13.2%であった(プラセボ群との比較で,6 mg 群で P=0.005,3 mg 群で P=0.02).フルコナゾールの使用により,真菌の保菌およびその後の侵襲性真菌感染症の発症との関係は変化しなかった.すべての群で全死亡率は同等であり,胆汁うっ滞の発生率も同等であった.耐性カンジダ種の出現を示す所見は観察されなかったが,本試験はそのような結果を検出するのに十分な検出力を有さなかった.
出生時体重 1,500 g 未満の新生児において,フルコナゾールの予防的投与により真菌の保菌と侵襲性カンジダ感染症の発生率が低下する.カンジダ保菌に対する治療の有益性は明らかではない.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN85753869)