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June 14, 2007 Vol. 356 No. 24

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内科疾患数と医療の質との関係
Relationship between Number of Medical Conditions and Quality of Care

T. Higashi and Others

背景

医療の質を測定するために用いられている手法が,複数の内科疾患を有する患者を診療する医療者を不当に不利にしているという懸念が生じている.このためわれわれは,医療の質と患者の有する内科疾患数との関係を検討することを試みた.

方 法

地域社会質指標(Community Quality Index)研究,高リスク高齢者医療評価(Assessing Care of Vulnerable Elders)研究,および退役軍人健康庁(Veterans Health Administration)プロジェクトにおける,地域居住成人患者の 3 集団(計 7,680 例)に対して行われた医療の質の測定結果を評価した.患者が受けた医療の質(患者が当てはまるとされた質指標の中で満たされている指標の割合と定義)と,各患者の有する慢性内科疾患数との関係を解析した.さらに,患者特性,医療の利用(受診回数および入院回数),および専門医による医療の役割を,観察された関係の説明因子として検討した.

結 果

内科疾患数が増加するに従って,医療の質も向上した.各内科疾患は,質スコアにおいて,地域社会質指標コホートでは 2.2%(95%信頼区間 [CI] 1.7~2.7),高リスク高齢者医療評価コホートでは 1.7%(95% CI 1.1~2.4),退役軍人健康庁コホートでは 1.7%(95% CI 0.7~2.8)の上昇と関連していた.医療の質と内科疾患数との関係は,質指標で推奨されている医療を提供する困難さや,複数の内科疾患が同一の医療を必要とするために,同一の医療行為から複数の指標に関して満たされたと数えられる可能性があることを調整しても,ほとんど影響を受けなかった.患者特性および医療の利用や専門医の治療による調整によって関係は縮小したが,依然として正の関係であった.

結 論

患者が推奨されている医療を提供されたかによって測定した医療の質は,患者が有する慢性疾患数が増加するに従って向上した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 2496 - 504. )