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January 25, 2007 Vol. 356 No. 4

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好中球減少症患者における予防投与としてのポサコナゾールとフルコナゾールまたはイトラコナゾールの比較
Posaconazole vs. Fluconazole or Itraconazole Prophylaxis in Patients with Neutropenia

O.A. Cornely and Others

背景

侵襲性真菌感染は治療が困難であり,致命的となる場合も多いが,急性骨髄性白血病または骨髄異形成症候群に対する化学療法により好中球減少をきたした患者はその感染のリスクが高い.

方 法

治療割付けを知らされていない評価者によるこの多施設共同無作為化試験では,慢性好中球減少症患者に対する予防投与としてのポサコナゾール(posaconazole)の有効性と安全性を,フルコナゾールまたはイトラコナゾールと比較した.患者は,好中球減少症の回復および完全寛解,侵襲性真菌感染の発生,または最大 12 週間の,いずれか早い時点まで各化学療法のサイクルで予防投与を受けた.ポサコナゾールで治療中に確認された侵襲性真菌感染の確定例またはほぼ確実例の発生率(主要エンドポイント)を,フルコナゾールまたはイトラコナゾールと比較した.副次的エンドポイントは,全死因死亡と死亡までの時間とした.

結 果

計 304 例をポサコナゾール群,298 例をフルコナゾール(240 例)またはイトラコナゾール(58 例)群に無作為に割り付けた.侵襲性真菌感染の確定例またはほぼ確実例は,ポサコナゾール群で 7 例(2%),フルコナゾールまたはイトラコナゾール群で 25 例(8%)報告され(ポサコナゾール群の絶対減少率 -6%,95%信頼区間-9.7~-2.5%,P<0.001),優位性を示す統計学的基準を満たした.侵襲性アスペルギルス症を発症した患者は,ポサコナゾール群のほうが有意に少なかった(2 例 [1%] 対 20 例 [7%],P<0.001).ポサコナゾール群の患者では,フルコナゾールまたはイトラコナゾール群の患者よりも生存期間が有意に長かった(P=0.04).治療と関連する可能性があるまたは可能性が高い重篤な有害事象は,ポサコナゾール群で 19 例(6%),フルコナゾールまたはイトラコナゾール群で 6 例(2%)報告された(P=0.01).治療と関連する有害事象のうち,両群でもっとも多くみられたのは消化管障害であった.

結 論

急性骨髄性白血病または骨髄異形成症候群に対する化学療法を受けている患者では,ポサコナゾールは,フルコナゾールやイトラコナゾールよりも侵襲性真菌感染を効果的に予防し,全生存率を改善した.ポサコナゾール群では,治療と関連する可能性があるまたは可能性が高い重篤な有害事象がより多かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00044486)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 348 - 59. )