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January 4, 2007 Vol. 356 No. 1

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パーキンソン病に対するドパミン作動薬の使用と心臓弁膜症
Valvular Heart Disease and the Use of Dopamine Agonists for Parkinson's Disease

R. Zanettini and Others

背景

麦角系ドパミン受容体作動薬は,パーキンソン病の治療に用いられることが多いが,心臓弁膜症のリスク上昇と関連している.

方 法

パーキンソン病に対してドパミン受容体作動薬の投与を受けている患者 155 例(ペルゴリド 64 例,カベルゴリン 49 例,非麦角系ドパミン作動薬 42 例)と対照者 90 例を対象に,心エコー検査に基づく心臓弁膜症の有病率研究を実施した.弁逆流の評価は,米国心エコー図学会(American Society of Echocardiography)の勧告に基づいて行った.また,僧帽弁 tenting 面積の測定を行い,弁尖硬化と,弁尖接合部の心尖方向への偏位の定量的指標として用いた.

結 果

いずれかの弁膜における臨床的に重大な逆流(中等症から重症,グレード 3~4)は,ペルゴリドの投与を受けた患者(23.4%)とカベルゴリンの投与を受けた患者(28.6%)において,対照者(5.6%)と比較して有意に高い頻度で認められたが,非麦角系ドパミン作動薬の投与を受けた患者では認められなかった(0%).ペルゴリド群における中等症から重症の弁逆流に対する相対リスクは,僧帽弁逆流について 6.3(P=0.008),大動脈弁逆流について 4.2(P=0.01),三尖弁逆流について 5.6(P=0.16)であり,カベルゴリン群における相対リスクは,それぞれ 4.6(P=0.09),7.3(P<0.001),5.5(P=0.12)であった.僧帽弁 tenting 面積の平均値は,麦角系ドパミン作動薬の投与を受けた患者で有意に大きく,僧帽弁逆流の重症度と直線的な関連を示した.麦角誘導体の投与を受けており,いずれかの弁膜でグレード 3~4 の逆流があった患者では,逆流の重症度が低い患者と比べて,ペルゴリドまたはカベルゴリンの平均累積投与量が有意に多かった.

結 論

臨床的に重大な弁逆流の頻度は,対照者と比較して,ペルゴリドまたはカベルゴリンの投与を受けた患者で有意に上昇したが,非麦角系ドパミン作動薬の投与を受けた患者では上昇しなかった.これらの知見は,麦角誘導体治療のリスク・利益比の評価において考慮すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 39 - 46. )