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February 15, 2007 Vol. 356 No. 7

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川崎病の一次治療としての副腎皮質ステロイドパルス療法の無作為化試験
Randomized Trial of Pulsed Corticosteroid Therapy for Primary Treatment of Kawasaki Disease

J.W. Newburger and Others

背景

川崎病の急性期には,免疫グロブリン静脈内投与とアスピリンによる治療により冠動脈障害と全身性炎症のリスクが減少するが,一部の患児では免疫グロブリン静注療法にもかかわらず冠動脈障害が発現する.複数の研究において,副腎皮質ステロイドを用いた一次治療が有益である可能性と,短期間の使用であれば有害事象もまれであることが示唆されている.

方 法

川崎病に対する従来の一次治療にメチルプレドニゾロンの静脈内投与を追加することによって,冠動脈障害のリスクが減少するか否かを判定するために,多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した.発熱期間が 10 日以内の患児を,メチルプレドニゾロン 30 mg/kg 体重の静脈内投与(101 例)またはプラセボ(98 例)に無作為に割り付けた.すべての患児には従来どおり,免疫グロブリン 2 g/kg の静脈内投与に加え,アスピリンを解熱し平熱が 48 時間続くまで 80~100 mg/kg/日,その後は 3~5 mg/kg /日 投与する治療を行った.

結 果

無作為化の 1 週間後と 5 週間後の時点で,体表面積で補正した z スコアで表した冠動脈径,絶対径,および径の変化は,両群の患児で同等であった.メチルプレドニゾロン群の患児は,プラセボ群と比較して,最初の入院期間がやや短く(P=0.05),1 週間後の赤血球沈降速度が遅く(P=0.02),C 反応性蛋白値が低い傾向にあった(P=0.07).しかし,入院日数の合計,発熱がみられた日数,免疫グロブリン静脈内投与による再治療率,有害事象の数は,両群で同等であった.

結 論

今回のデータは,川崎病の患児に対するルーチンの一次治療として,従来の免疫グロブリン静注療法にメチルプレドニゾロンの単回静脈内投与によるパルス療法を追加することを支持するものではない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00132080)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 663 - 75. )