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September 20, 2007 Vol. 357 No. 12

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コルチコステロイドの出生前反復投与後の長期転帰
Long-Term Outcomes after Repeat Doses of Antenatal Corticosteroids

R.J. Wapner and Others

背景

先行試験において,コルチコステロイドの出生前反復投与により,早期産児における新生児期の転帰の一部は改善されるが,出生体重が低下し,子宮内胎児発育遅延のリスクが増加することが示されている.出生前におけるコルチコステロイドの単回治療コースと反復治療コースとを比較する無作為化試験に組み入れられた小児に関する,長期追跡調査の結果を報告する.

方 法

コルチコステロイドの初期治療コース後 7 日目に妊娠が維持されていた妊娠 23~31 週の女性を,ベタメタゾン週 1 回投与群(12 mg を筋肉内投与,24 時間後にもう 1 回投与),あるいは外見が同一のプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.これらの治療後に出生した小児を対象に,修正 2 歳および 3 歳の時点で調査を行った.事前に規定した転帰は,ベイリー乳幼児発達検査(Bayley Scale of Infant Development),身体計測値,および脳性麻痺の有無とした.

結 果

計 556 例の乳児の追跡調査が行われた.そのうち身体診察が行われたのは 486 例(87.4%),ベイリー検査が行われたのは 465 例(83.6%)で,平均修正月齢(±SD)は 29.3±4.6 ヵ月であった.ベイリー検査の結果と身体計測値に有意差は認められなかった.脳性麻痺はコルチコステロイド反復投与群の 6 例(妊娠の 2.9%)で認められたのに対し,プラセボ群で認められたのは 1 例(妊娠の 0.5%)であった(相対リスク 5.7,95%信頼区間 0.7~46.7,P=0.12).

結 論

コルチコステロイドの出生前投与による治療コースに,反復して曝露された小児と単回で曝露された小児とを比較した結果,身体計測や神経認知測定で有意差は認められなかった.差は統計学的に有意ではなかったが,コルチコステロイドの反復投与に曝露された小児で脳性小児麻痺の発症率がより高かったことは憂慮すべきことであり,さらに詳細な研究が求められる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00015002)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 1190 - 8. )