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October 4, 2007 Vol. 357 No. 14

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地域在住高齢者におけるインフルエンザワクチンの有効性
Effectiveness of Influenza Vaccine in the Community-Dwelling Elderly

K.L. Nichol and Others

背景

65 歳以上の人々におけるインフルエンザワクチンの有効性に関する信頼できる推定値は,十分な情報に基づくワクチン接種の政策と計画のために重要である.短期間の研究は長期的利益について誤った理解をもたらすおそれがあり,残余交絡により過去の研究結果にバイアスをかけている可能性がある.この研究では,結果の潜在的バイアスと残余交絡に対処しながら,高齢者におけるインフルエンザワクチンの長期的有効性を検討した.

方 法

米国の健康保険組合(HMO)1 ヵ所の地域在住高齢者(1990,1991 年~1999,2000 年)と,ほかの HMO 2 ヵ所の地域在住高齢者(1996,1997 年~1999,2000 年)から成る 18 のコホート集団から,データをプールした.肺炎またはインフルエンザによる入院,および死亡の予防に対するワクチンの有効性を推定するため,重要な共変量を補正し,ロジスティック回帰を用いた.さらなる解析により,バイアスの所見と残余交絡の影響の可能性を調査した.

結 果

713,872 人・季節(person-seasons)を観察した.調査したもっとも高リスクの病態の有病率は,ワクチン接種群で非接種群よりも高かった.ワクチン接種により,肺炎またはインフルエンザによる入院のリスクは 27%減少し(補正オッズ比 0.73,95%信頼区間 [CI] 0.68~0.77),死亡リスクは 48%減少した(補正オッズ比 0.52,95% CI 0.50~0.55).推定値は,年齢とリスク群の全体にわたりおおむね安定していた.感度解析では,主解析においてワクチンの有効性の過大評価の原因となったと考えられる,仮定上の未測定の交絡因子の影響をモデルに組み入れた.それでも,ワクチン接種は依然として,入院と死亡のリスク両方の統計学的に有意な減少(減少程度はより低くなったが)と関連性を示した.

結 論

インフルエンザのワクチン接種により,10 季節にわたって,地域在住高齢者の肺炎またはインフルエンザによる入院のリスクと死亡リスクが有意に減少した.この優先順位の高い集団へのワクチンの供給を改善すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 1373 - 81. )