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November 8, 2007 Vol. 357 No. 19

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先天性心疾患を有する新生児における脳発達の異常
Abnormal Brain Development in Newborns with Congenital Heart Disease

S.P. Miller and Others

背景

新生児の先天性心疾患は,発達における機能障害全般と関連している.われわれは,先天性心疾患を有する新生児において,心臓手術前の脳の成熟度の指標としての脳代謝と微細構造の特徴を検討した.

方 法

先天性心疾患を有する満期産の新生児 41 例(大血管転位症 29 例,単心室症 12 例)において,心臓手術前に,MRI,磁気共鳴分光法(MRS),拡散テンソル画像(DTI)による検査を行った.N-アセチルアスパラギン酸/コリン比(脳の成熟に伴い上昇),乳酸/コリン比(成熟に伴い低下),平均拡散率(成熟に伴い低下),白質路の異方性比率(成熟に伴い上昇)を算出した.これらの所見を,在胎期間が同等の対照新生児 16 例の所見と比較した.

結 果

対照群と比較して,先天性心疾患群では,N-アセチルアスパラギン酸/コリン比が 10%低く(P=0.003),乳酸/コリン比が 28%高く(P=0.08),平均拡散率が 4%高く(P<0.001),白質異方性比率が 12%低かった(P<0.001).MRI で認められるような術前脳損傷と,MRS や DTI の所見に有意な関連は認められなかった.白質損傷は,先天性心疾患群の 13 例(32%)で観察され,対照群では認められなかった.

結 論

先天性心疾患を有する満期産の新生児には,心臓手術を受ける前に広範囲に及ぶ脳異常が認められる.そのような新生児における画像所見は,未熟児でみられる所見に類似しており,子宮内での脳発達の異常を反映している可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 1928 - 38. )