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November 15, 2007 Vol. 357 No. 20

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急性冠症候群患者におけるプラスグレルとクロピドグレルの比較
Prasugrel versus Clopidogrel in Patients with Acute Coronary Syndromes

S.D. Wiviott and Others

背景

アスピリンとチエノピリジン系薬剤による 2 剤併用抗血小板療法は,急性冠症候群および経皮的冠動脈インターベンションの血栓性合併症に対する予防治療の基本である.

方 法

新規チエノピリジン系薬剤であるプラスグレル(prasugrel)をクロピドグレルと比較するため,経皮的冠動脈インターベンションを施行予定の中~高リスクの急性冠症候群患者 13,608 例を,6~15 ヵ月にわたるプラスグレル投与(初回用量 60 mg,維持用量 1 日 10 mg)と,クロピドグレル投与(初回用量 300 mg,維持用量 1 日 75 mg)のいずれかに無作為に割り付けた.有効性の主要エンドポイントは,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中とした.安全性の重要なエンドポイントは重大な出血とした.

結 果

有効性の主要エンドポイントは,クロピドグレル群の 12.1%とプラスグレル群の 9.9%で発生した(プラスグレル 対 クロピドグレルのハザード比 0.81,95%信頼区間 [CI] 0.73~0.90,P<0.001).プラスグレル群においては,心筋梗塞の発生率(クロピドグレル群 9.7% 対 プラスグレル群 7.4%,P<0.001),標的血管に対する緊急の血行再建術施行率(3.7% 対 2.5%,P<0.001),ステント血栓症の発生率(2.4% 対 1.1%,P<0.001)に有意な低下がみられた.重大な出血は,プラスグレル群の 2.4%とクロピドグレル群の 1.8%でみられた(ハザード比 1.32,95% CI 1.03~1.68,P=0.03).また,プラスグレル群では,非致死的な出血(1.1% 対 0.9%,ハザード比 1.25,P=0.23)と致死的な出血(0.4% 対 0.1%,P=0.002)を含む,生命にかかわる出血の発生率もより高値を示した(1.4% 対 0.9%,P=0.01).

結 論

経皮的冠動脈インターベンションを施行予定の急性冠症候群患者において,プラスグレル療法は,ステント血栓症など虚血性イベントの発生率の有意な低下と関連を示したが,致死的な出血など重大な出血のリスクの増加とも関連を示した.治療群間で全死亡率に有意差はみられなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00097591)

本論文(10.1056/NEJMoa0706482)は,2007 年 11 月 4 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 2001 - 15. )