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November 29, 2007 Vol. 357 No. 22

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高齢の収縮期心不全患者に対するロスバスタチン
Rosuvastatin in Older Patients with Systolic Heart Failure

J. Kjekshus and Others

背景

収縮期心不全患者は一般的に,スタチン試験から除外される.この集団では急性冠動脈イベントはまれであり,これらの患者に対してスタチンを投与することは理論的にリスクがある.

方 法

60 歳以上で,ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)分類 II 度,III 度,IV 度の虚血性収縮期心不全を有する患者計 5,011 例を,ロスバスタチン 10 mg/日投与とプラセボ投与のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の複合とした.副次的転帰は,全死因死亡,全冠動脈イベント,心血管系の原因による死亡,入院数などとした.

結 果

プラセボ群と比較して,ロスバスタチン群の患者では,低比重リポ蛋白コレステロール値(群間差 45.0%,P<0.001)と高感度 CRP 値(群間差 37.1%,P<0.001)が低下した.中央値 32.8 ヵ月の追跡調査期間中,主要転帰はロスバスタチン群の 692 例とプラセボ群の 732 例で発生し(ハザード比 0.92,95%信頼区間 [CI] 0.83~1.02,P=0.12),死亡はそれぞれ 728 例と 759 例であった(ハザード比 0.95,95% CI 0.86~1.05,P=0.31).冠動脈系の転帰および心血管系の原因による死亡のいずれについても,2 群間で有意差は認められなかった.事前に規定した二次解析では,心血管系の原因による入院数は,ロスバスタチン群(2,193 件)のほうがプラセボ群(2,564 件)よりも少なかった(P<0.001).ロスバスタチン群で,筋関連のエピソードやその他の有害事象が過剰に発生することはなかった.

結 論

高齢の収縮期心不全患者において,ロスバスタチンにより,主要転帰と全死因死亡数はいずれも減少しなかったが,心血管系の原因による入院数は減少した.この薬剤に安全性に関する問題は認められなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00206310)

本論文(10.1056/NEJMoa0706201)は,2007 年 11 月 5 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 2248 - 61. )