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December 13, 2007 Vol. 357 No. 24

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細菌性髄膜炎に罹患したベトナム人の青年および成人に対するデキサメタゾン
Dexamethasone in Vietnamese Adolescents and Adults with Bacterial Meningitis

N.T.H. Mai and Others

背景

細菌性髄膜炎に罹患した成人全例が,デキサメタゾンによる補助療法から利益を得るかどうかは不明である.

方 法

細菌性髄膜炎が疑われる 14 歳以上の患者 435 例を対象に,デキサメタゾンに関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した.試験の目的は,1 ヵ月の時点の死亡リスクと,6 ヵ月の時点の死亡あるいは身体障害のリスクが,デキサメタゾンによって低下するかどうかを明らかにすることであった.

結 果

計 217 例をデキサメタゾン群に,218 例をプラセボ群に割り付けた.300 例(69.0%)で細菌性髄膜炎が確定し,123 例(28.3%)がほぼ確実例と診断され,12 例(2.8%)には別の診断が下された.患者全例を対象とした intention-to-treat 解析から,デキサメタゾンは,1 ヵ月の時点の死亡リスク(相対リスク 0.79,95%信頼区間 [CI] 0.45~1.39),および 6 ヵ月の時点の死亡あるいは身体障害のリスク(オッズ比 0.74,95% CI 0.47~1.17)の有意な低下とは関連しないことが示された.しかし,細菌性髄膜炎の確定例では,1 ヵ月の時点の死亡リスク(相対リスク 0.43,95% CI 0.20~0.94),および 6 ヵ月の時点の死亡または身体障害のリスク(オッズ比 0.56,95% CI 0.32~0.98)に有意な低下がみられた.これらの効果は,ほぼ確実例には認められなかった.多変量解析の結果から,ほぼ確実例に対するデキサメタゾン療法は,1 ヵ月の時点の死亡リスクの上昇と有意な関連があることが示された.この所見は,治療群における結核性髄膜炎症例の存在によって説明される可能性がある.

結 論

細菌性髄膜炎が疑われるすべての青年および成人において,デキサメタゾンにより転帰が改善することはない.有益な効果が得られるのは,抗菌薬による前治療を受けた患者を含め,細菌性髄膜炎が微生物学的に確定した患者に限定されるものと考えられる.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN42986828)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 2431 - 40. )