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August 2, 2007 Vol. 357 No. 5

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冠動脈疾患のゲノムワイド関連解析
Genomewide Association Analysis of Coronary Artery Disease

N.J. Samani and Others

背景

最新の遺伝子型判定プラットフォームを用いることで,複雑な疾患の遺伝的要因に対する系統的な検索が可能である.われわれは,冠動脈疾患に関する 2 件のゲノムワイド関連解析を共同で実施した.

方 法

まず,Wellcome Trust Case Control Consortium(WTCCC)研究(冠動脈疾患の症例 1,926 例と対照 2,938 例が参加)で冠動脈疾患と強い関連のある染色体上の遺伝子座を同定し,ドイツの心筋梗塞家族研究(German MI [Myocardial Infarction] Family Study;心筋梗塞の症例 875 例と対照 1,644 例が参加)で結果の再現性を検証した.次いで,真に関連する確率が高い遺伝子座をさらに同定するために,一方の研究で冠動脈疾患との有意な関連(P<0.001)が認められた一塩基多型(SNP)に関するデータを組み合わせて検討した.両研究の遺伝子型判定は,GeneChip Human Mapping 500K Array Set(Affymetrix 社)を用いて行った.

結 果

WTCCC 研究とドイツの研究の両方において,研究対象となった染色体上の数千個の遺伝子座のうち,同一の遺伝子座,すなわち染色体 9p21.3(SNP,rs1333049)が冠動脈疾患ともっとも強い関連を示した(それぞれ P=1.80×10-14,P=3.40×10-6).WTCCC 研究では,冠動脈疾患と関連の強い遺伝子座が計 9 個明らかにされた(P<1.2×10-5,偽陽性率 50%未満).ドイツの研究では,染色体 9p21.3 に加えて,これらの遺伝子座のうち,染色体 6q25.1(rs6922269)と染色体 2q36.3(rs2943634)の 2 個の再現に成功した(補正した P<0.05).2 件の研究の組合せ解析によって,冠動脈疾患と有意に関連し(P<1.3×10-6),真に関連する確率が高い(>80%)遺伝子座を新たに 4 個同定した.それらは,染色体 1p13.3(rs599839),1q41(rs17465637),10q11.21(rs501120),15q22.33(rs17228212)である.

結 論

冠動脈疾患の発症リスクに,単独あるいは全体で重大な影響を与える遺伝子座を数個同定した.

本論文(10.1056/NEJMoa072366)は,2007 年 7 月 18 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 443 - 53. )