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August 9, 2007 Vol. 357 No. 6

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急性脳梗塞の治療のための NXY-059
NXY-059 for the Treatment of Acute Ischemic Stroke

A. Shuaib and Others

背景

フリーラジカル捕捉剤である NXY-059 は,急性脳梗塞 NXY 治療 I(Stroke–Acute Ischemic NXY Treatment I;SAINT I)試験において,急性脳梗塞患者に投与すると障害を軽減し,神経保護薬として期待できることが示された.より大規模な第 2 の試験を行い,有効性の確認を行った.

方 法

急性脳梗塞患者 3,306 例を,発症後 6 時間以内に NXY-059 またはプラセボを 72 時間にわたって静脈内投与する無作為化二重盲検試験に登録した.主要エンドポイントは,90 日の時点の修正 Rankin 尺度(modified Rankin scale)による障害スコアの分布とした.副次的エンドポイントとして,神経学的尺度ならびに日常生活動作尺度によるスコアを検討した.また,NXY-059 によりアルテプラーゼ関連頭蓋内出血が減少するという仮説についても検討した.

結 果

有効性解析は 3,195 例をもとに行った.予後因子は治療群間で均衡がとれていた.死亡率は両群で等しく,有害事象の発生率はほぼ同等であった.修正 Rankin 尺度によるスコア分布には,NXY-059 投与群(1,588 例)とプラセボ群(1,607 例)のあいだに差は認められな かった(Cochran–Mantel–Haenszel 検定で P=0.33,限定的な障害のオッズ比 0.94,95%信頼区間 [CI] 0.83~1.06).修正 Rankin 尺度のスコアをカテゴリー化した解析から,利益がないことが確認された.すなわち,修正 Rankin 尺度が 0~1,2~3,4~6 の 3 つに分かれるオッズ比は 0.92 であった(95% CI 0.80~1.06).副次的エンドポイントのいずれにおいても,有効性を示す所見は認められなかった.アルテプラーゼによる治療を受けている患者に関しては,NXY-059 群とプラセボ群のあいだで,症候性出血または無症候性出血の頻度に差はなかった.

結 論

NXY-059 は,急性脳梗塞発症後 6 時間以内の治療には効果がない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00061022)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 562 - 71. )