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August 16, 2007 Vol. 357 No. 7

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処方薬の消費者向け直接広告の 10 年
A Decade of Direct-to-Consumer Advertising of Prescription Drugs

J.M. Donohue, M. Cevasco, and M.B. Rosenthal

背景

処方薬の消費者向け直接広告は,医薬品の売り上げを伸ばし,薬剤の不十分な使用を防ぐ一方で,過剰使用の可能性をもたらすことを示すエビデンスがある.頻繁に宣伝された薬剤に重篤なリスクがあることが判明し,市場より回収されていることから,近年このような広告に対する懸念が高まっている.さらに,このような広告を規制する法規の執行が不十分であるとして,米国食品医薬品局(FDA)が批判を受けている.

方 法

消費者向け直接広告および医師への販売促進に関する製薬企業の支出について,業界全体におけるこの 10 年の傾向を調査した.このような宣伝が行われた薬剤の特徴を調べ,薬剤発売後に広告が出される時期について評価を行った.最後に,薬剤の広告に関する FDA の規制について,傾向を調査した.

結 果

医薬品の販売促進に関する支出総額は,1996 年の 114 億ドルから 2005 年には 299 億ドルにまで増加した.この期間中,消費者向け直接広告に関する支出は 330%増加したものの,2005 年の販売促進費用全体の 14%を占めるにすぎなかった.直接消費者に向けたキャンペーンは,一般に FDA による製品の承認後 1 年以内に開始される.文書発行の前に法的な精査を必要とする規制の変更を背景として,薬剤の広告規制違反に関して FDA から製薬企業に出された文書の数は,1997 年の 142 件から 2006 年にはわずか 21 件にまで減少した.

結 論

消費者向け直接広告に関する支出は,批判があるにもかかわらず近年増加を続けている.今回の結果は,新薬に対するこのような広告の禁止を要求することが,現在の慣行からの劇的な脱却となるであろうことを示唆するものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 673 - 81. )