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March 6, 2008 Vol. 358 No. 10

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多腺性自己免疫症候群 1 型と副甲状腺自己抗原 NALP5
Autoimmune Polyendocrine Syndrome Type 1 and NALP5, a Parathyroid Autoantigen

M. Alimohammadi and Others

背景

多腺性自己免疫症候群 1 型(autoimmune polyendocrine syndrome type 1;APS-1)は,自己免疫調節遺伝子 AIRE の変異によって引き起こされる多臓器自己免疫疾患である.AIRE 欠損に関する近年の研究により,APS-1 患者における臓器特異的自己免疫の分子的発症機序が解明されつつあるが,APS-1 の特徴であり,もっとも頻度の高い自己免疫性内分泌疾患である副甲状腺機能低下症の責任自己抗原はまだ同定されていない.

方 法

NACHT ロイシンリッチリピート蛋白 5(NALP5)に反応性を有する患者を同定するため,副甲状腺機能低下症の APS-1 患者の血清検体を用いて,ヒト副甲状腺 cDNA ライブラリーの免疫スクリーニングを実施した.次いで,APS-1 患者 87 例と,他の自己免疫疾患の患者を含む対照者 293 例の血清検体を用いて,NALP5 に対する自己抗体の頻度と特異度を決定した.さらに,NALP5 の発現をさまざまな組織において検討した.

結 果

NALP5 特異的自己抗体は,副甲状腺機能低下症の APS-1 患者の 49%で検出されたが,副甲状腺機能低下症のない APS-1 患者全例,他の自己免疫性内分泌疾患患者全例,健常対照者全例では認められなかった.NALP5 は,副甲状腺主細胞の細胞質で主に発現していた.

結 論

NALP5 は,APS-1 患者の副甲状腺機能低下症に関与する組織特異的自己抗原であるとみられる.NALP5 に対する自己抗体は特異性が高いと考えられ,APS-1 を構成するこの顕著な疾患の診断に用いることができるかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 1018 - 28. )