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March 20, 2008 Vol. 358 No. 12

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赤血球の保存期間と心臓手術後の合併症
Duration of Red-Cell Storage and Complications after Cardiac Surgery

C.G. Koch and Others

背景

保存赤血球では,構造および機能の変化が経時的に進行する.われわれは,輸血された赤血球の保存期間が 2 週間を超えている場合に,心臓手術後の重篤な合併症および死亡が増加するという仮説の検証を行った.

方 法

1998 年 6 月 30 日~2006 年 1 月 30 日に,冠動脈バイパス術,心臓弁手術,またはその両方の施行時に赤血球輸血を受けた患者のデータを検討した.計 2,872 例が保存期間 14 日以下の血液(「新しい血液」)8,802 単位の輸血を受け,3,130 例が保存期間が 14 日を超える血液(「古い血液」)10,782 単位の輸血を受けた.傾向スコア法を用いた多変量ロジスティック回帰分析により,保存期間が転帰に及ぼす影響を評価した.生存率は Kaplan-Meier 法および Blackstone の要因分解法によって推定した.

結 果

保存期間の中央値は,新しい血液で 11 日,古い血液で 20 日であった.古い血液を輸血された患者では,新しい血液を輸血された患者に比べ,院内死亡(2.8% 対 1.7%,P=0.004),72 時間を超える挿管(9.7% 対 5.6%,P<0.001),腎不全(2.7% 対 1.6%,P=0.003),敗血症(4.0% 対 2.8%,P=0.01)の発生率が高かった.複数の合併症が発生する頻度は,古い血液を輸血された患者のほうが高かった(25.9% 対 22.4%,P=0.001).同様に,古い血液の場合は,リスクで調整した複合転帰の発生率も高かった(P=0.03).1 年の時点における死亡率は,新しい血液を輸血された患者のほうが有意に低かった(7.4% 対 11.0%,P<0.001).

結 論

心臓手術施行患者において,保存期間が 2 週間を超えた赤血球の輸血は,術後合併症のリスクの有意な上昇,ならびに短期生存率・長期生存率の低下に関連していた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 1229 - 39. )