妊娠中の肥満とヘルスケアの利用増加との関連
Association between Obesity during Pregnancy and Increased Use of Health Care
S.Y. Chu and Others
米国では妊娠中の肥満が多くみられ,出産リスクが高まっている.妊娠中の肥満に関連したヘルスケアサービス利用の増加を推定する必要がある.
米国の大規模なグループ診療の健康保険維持機構(health maintenance organization;HMO)の電子カルテシステムを用いて,妊娠時の年齢が 18 歳以上の女性における,生児出生または死産にいたった妊娠 13,442 例を同定した.研究期間は 2000 年 1 月 1 日~04 年 12 月 31 日とした.妊娠前または妊娠初期のヘルスケアサービス利用の指標と,体格指数(BMI,体重 [kg] を身長 [m] の二乗で除した値)との関連について評価した.女性を,低体重(BMI<18.5),正常(BMI 18.5~24.9),過体重(BMI 25.0~29.9),肥満(BMI 30.0~34.9),著しい肥満(BMI 35.0~39.9),重度の肥満(BMI≧40.0)に分類した.主要転帰は,分娩のための平均入院期間とした.
分娩のための平均(±SE)入院期間は,年齢,人種・民族,教育水準,および出産歴で補正すると,過体重(3.7±0.1 日),肥満(4.0±0.1 日),著しい肥満(4.1±0.1 日),重度の肥満(4.4±0.1 日)の女性のほうが,BMI が正常な女性(3.6±0.1 日)よりも有意に長かった(P<0.05).BMI が正常よりも高い場合には,出生前胎児検査,超音波検査,外来薬局による調剤,産婦人科への電話,出生前に医師を受診する頻度が有意に高かった.また,BMI が正常よりも高い場合には,出生前にナースプラクティショナーおよび医師助手(physician assistant)を受診する頻度が有意に低かった.BMI 高値と関連した入院期間延長の大部分は,帝王切開率の上昇および肥満に関連した高リスク状態に関連していた.
妊娠中の肥満は,ヘルスケアサービス利用の増加と関連している.