The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 24, 2008 Vol. 358 No. 4

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

多枝冠動脈疾患における薬剤溶出性ステントと冠動脈バイパス術の比較
Drug-Eluting Stents vs. Coronary-Artery Bypass Grafting in Multivessel Coronary Disease

E.L. Hannan and Others

背景

冠動脈バイパス術(CABG)と冠動脈ステント留置術という,多枝冠動脈疾患に対する競合する 2 つの介入法については,多数の研究でその転帰が比較されている.しかし,薬剤溶出性ステント導入以降の情報はほとんど得られていない.

方 法

2003 年 10 月 1 日~2004 年 12 月 31 日に,ニューヨーク州において薬剤溶出性ステントの留置を受けた多枝疾患患者と CABG を受けた多枝疾患患者を同定し,患者間のベースラインにおける危険因子を補正後,2005 年 12 月 31 日までの有害転帰(死亡,死亡または心筋梗塞,血行再建術の再施行)を比較した.

結 果

薬剤溶出性ステントによる治療と比較して,CABG 群のほうが,3 枝病変患者と 2 枝病変患者の両方において 18 ヵ月死亡率と,死亡または心筋梗塞の発生率が低かった.CABG 群の 3 枝病変患者では,ステント群の患者と比較して,死亡に対する補正ハザード比は 0.80 であり(95%信頼区間 [CI] 0.65~0.97),補正生存率は 94.0% 対 92.7%であった(P=0.03).また,死亡または心筋梗塞に対する補正ハザード比は 0.75(95% CI 0.63~0.89),心筋梗塞のない補正生存率は 92.1% 対 89.7%であった(P<0.001).CABG 群の 2 枝病変患者では,ステント群の患者と比較して,死亡に対する補正ハザード比は 0.71 であり(95% CI 0.57~0.89),補正生存率は 96.0% 対 94.6%(P=0.003)であった.また,死亡または心筋梗塞に対する補正ハザード比は 0.71(95% CI 0.59~0.87),心筋梗塞のない補正生存率は 94.5% 対 92.5%であった(P<0.001).CABG 群では,血行再建術の再施行率も低かった.

結 論

多枝病変を有する患者において,CABG は依然として薬剤溶出性ステントによる治療よりも死亡率が低く,死亡または心筋梗塞の発生率,血行再建術の再施行率も低い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 331 - 41. )