January 24, 2008 Vol. 358 No. 4
メディケア医療保険における医療費の一部自己負担がマンモグラフィ検診に及ぼす影響
Effect of Cost Sharing on Screening Mammography in Medicare Health Plans
A.N. Trivedi, W. Rakowski, and J.Z. Ayanian
医療費の患者負担を引き上げる政策は,任意の医療サービスの利用を低減させる一方で,マンモグラフィのような重要な予防医療の利用をも低減させる可能性がある.
2001~04 年における 174 のメディケアのマネジドケアの中で,マンモグラフィに対する保険適用範囲を検討した.年齢 65~69 歳の女性 366,475 例の個別記録 550,082 件を対象として,マンモグラフィに一部自己負担を求めるプランと全額を保険適用とするプランとで,2 年に 1 回の乳癌検診の受診率を比較した.また,マンモグラフィを全額保険適用から一部自己負担に変更したプランと,一部自己負担にはしなかったマッチさせた対照プランとで,検診受診率と比較する縦断的解析も行った.
マンモグラフィ費用を一部自己負担とするプラン(マンモグラフィ検診に対して自己負担額が 10 ドルを超えるもの,または自己負担の割合が 10%を超えるものと定義)の数は,2001 年の 3 件(女性の 0.5%に相当)から 2004 年には 21 件(女性の 11.4%に相当)へ増加した.2 年に 1 回の検診の受診率は,一部自己負担プランのほうが全額保険適用プランよりも 8.3 パーセントポイント低く,この差は補正解析でもみられた(P<0.001).一部自己負担の影響は,所得または教育レベルのより低い地域に居住する女性でより大きかった(各交互作用について P<0.001).検診の受診率は,一部自己負担を開始したプランでは 5.5 パーセントポイント低下し,全額保険適用を維持した対照プランでは 3.4 パーセントポイント上昇した(補正解析で P<0.001).
比較的小額の自己負担により,一般に認められている臨床ガイドラインでマンモグラフィ検診を受けるべきとされる女性において,マンモグラフィの受診率は有意に低下した.マンモグラフィのような有効な予防医療は,高齢者については費用の一部自己負担を免除してしかるべきである.