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February 28, 2008 Vol. 358 No. 9

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マラウイの小児における重症の貧血
Severe Anemia in Malawian Children

J.C.J. Calis and Others

背景

アフリカの小児において,重症の貧血は疾病と死亡の主な原因であるが,この集団の貧血の原因については十分な研究が行われていない.

方 法

マラウイの都市部および農村部において,重症の貧血(ヘモグロビン濃度<5.0 g/dL)の就学前小児 381 例と,重症の貧血ではない就学前小児 757 例を対象に症例対照研究を行った.これまでに重症の貧血との関連が示されている原因因子について検討した.データは,多変量解析および構造方程式モデリングを用いて解析した.

結 果

菌血症(補正オッズ比 5.3,95%信頼区間 [CI] 2.6~10.9),マラリア(補正オッズ比 2.3,95% CI 1.6~3.3),鉤虫(補正オッズ比 4.8,95% CI 2.0~11.8),ヒト免疫不全ウイルス感染(補正オッズ比 2.0,95% CI 1.0~3.8),G6PD-202/-376 遺伝子疾患(補正オッズ比 2.4,95% CI 1.3~4.4),ビタミン A 欠乏症(補正オッズ比 2.8,95% CI 1.3~5.8),ビタミン B12 欠乏症(補正オッズ比 2.2,95% CI 1.4~3.6)が,重症の貧血と関連していた.葉酸欠乏,鎌状赤血球症,異常炎症反応を示す臨床検査所見はほとんどみられなかった.鉄欠乏は,症例患者においてそれほど多くはみられず(補正オッズ比 0.37,95% CI 0.22~0.60),菌血症とは負の相関を示した.マラリアは,都市部では重症の貧血と関連していたが(季節性伝播による),農村部(マラリアの高度流行地域)では関連していなかった.鉤虫感染の 76%は 2 歳未満の小児に認められた.

結 論

マラウイの就学前小児における重症の貧血には複数の原因があるが,その中で葉酸欠乏と鉄欠乏は顕著な原因ではない.マラリア寄生虫が存在したとしても,重症の貧血の追加的もしくは代替的な原因を検討する必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 888 - 99. )