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January 3, 2008 Vol. 358 No. 1

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院内心停止後の除細動実施の遅延
Delayed Time to Defibrillation after In-Hospital Cardiac Arrest

P.S. Chan and Others

背景

専門ガイドラインでは,心室性不整脈による院内心停止に対して 2 分以内に除細動を行うことを推奨している.しかし,米国における除細動実施の遅れの発生頻度と,その生存への影響に関する実証的データは限られている.

方 法

米国心肺蘇生登録(National Registry of Cardiopulmonary Resuscitation)に参加している 369 ヵ所の病院で,心室細動または無脈性心室頻拍による心停止を起こした患者 6,789 例を同定した.多変量ロジスティック回帰を用い,除細動実施の遅れに関連する特性を明らかにした.その後,患者と病院の特性の差を補正して,除細動実施の遅れ(2 分以上)と生存して退院する率との関連性を検討した.

結 果

除細動実施までの時間の全体の中央値は 1 分であり(四分位範囲,1 分未満~3 分),除細動実施の遅れは 2,045 例(30.1%)で発生した.除細動実施の遅れと関連する特性は,黒色人種であること;入院時診断が心疾患以外であること;心停止の発生が,250 床未満の病院であること,モニタリングが行われていない病棟であること,時間外(午後 5 時~午前 8 時または週末)であることであった.除細動実施の遅れは,生存して退院する率が有意に低いことと関連した(22.2% 対 39.3% [除細動実施が遅延しなかった場合],補正オッズ比 0.48,95%信頼区間 0.42~0.54,P<0.001).さらに,除細動実施までの時間の延長と生存して退院する率の低下には,1 分遅れるごとに段階的な関連がみられた(傾向の P<0.001).

結 論

院内における心停止後の除細動実施の遅れは頻度が高く,生存率の低下と関連する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 9 - 17. )