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September 4, 2008 Vol. 359 No. 10

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心不全患者の予後における除細動器の電気ショックの重要性
Prognostic Importance of Defibrillator Shocks in Patients with Heart Failure

J.E. Poole and Others

背景

植込み型除細動器(implantable cardioverter-defibrillator:ICD)を一次予防(生死にかかわる最初の不整脈イベントの予防)のために植え込んでいる心不全患者は,後に治療のために ICD の電気ショックを受ける可能性がある.このような患者における ICD 治療の長期予後に関する情報は限られている.

方 法

ICD 治療群に無作為に割り付けられた心不全患者 829 例のうち,811 例に ICD の植込みを行った.心室性頻拍または心室細動発現後に作動した ICD の電気ショックは適切であるとみなした.その他すべての電気ショックは不適切であるとみなした.

結 果

中央値 45.5 ヵ月の追跡調査期間のあいだに,269 例(33.2%)が ICD の電気ショックを 1 回以上受けた.このうち 128 例が適切な電気ショックのみを受け,87 例が不適切な電気ショックのみを受け,54 例がその両方を受けた.ベースラインの予後因子で補正した Cox 比例ハザードモデルでは,適切な電気ショックは,適切な電気ショックを受けなかった患者と比較して,その後の全死因死亡のリスクの有意な上昇と関連していた(ハザード比 5.68,95%信頼区間 [CI] 3.97~8.12,P<0.001).また,不適切な電気ショックについても,不適切な電気ショックを受けなかった患者と比較して,死亡リスクの有意な上昇と関連していた(ハザード比 1.98,95% CI 1.29~3.05,P=0.002).適切な電気ショック後 24 時間以上生存した患者の死亡リスクは,依然として上昇していた(ハザード比 2.99,95% CI 2.04~4.37,P<0.001).電気ショックを受けた患者の死因でもっとも頻度が高かったのは,進行性心不全であった.

結 論

一次予防として ICD の植込みを行った心不全患者のうち,不整脈に対して電気ショックを受けた患者は,受けなかった患者に比べて死亡リスクが大幅に高くなる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 1009 - 17. )