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September 11, 2008 Vol. 359 No. 11

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頭頸部癌に対するプラチナ製剤を中心とした化学療法+セツキシマブ
Platinum-Based Chemotherapy plus Cetuximab in Head and Neck Cancer

J.B. Vermorken and Others

背景

セツキシマブは,プラチナ製剤抵抗の再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌に有効である.セツキシマブ+プラチナ製剤を中心とした化学療法の,再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌患者に対する一次治療としての有効性を検討した.

方 法

再発性または転移性の未治療の頭頸部扁平上皮癌を有する適格患者 442 例のうち,220 例をシスプラチン(1 日目に 100 mg/m2)またはカルボプラチンの投与(1 日目に曲線下面積 5 mg/mL/分を 1 時間かけて静脈内投与)+フルオロウラシルの投与(1,000 mg/m2/日を 4 日間)を 3 週ごとに最高 6 サイクル行う群に割り付け,222 例を同一の化学療法+セツキシマブの投与(最初に 400 mg/m2 を 2 時間かけて静脈内投与し,その後毎週 250 mg/m2 を 1 時間かけて静脈内投与)を最高 6 サイクル行う群に無作為に割り付けた.化学療法+セツキシマブの治療を受けて安定していた(stable disease)患者には,増悪あるいは忍容できない毒性のいずれかが発現するまでセツキシマブ投与を継続した.

結 果

フルオロウラシルを併用したプラチナ製剤を中心とする化学療法(プラチナ+フルオロウラシル)にセツキシマブを追加することにより,化学療法単独群で 7.4 ヵ月であった全生存期間の中央値が 10.1 ヵ月へと有意に延長した(死亡のハザード比 0.80,95%信頼区間 0.64~0.99,P=0.04).また,セツキシマブの追加により,無増悪生存期間の中央値は 3.3 ヵ月から 5.6 ヵ月に延長し(増悪のハザード比 0.54,P<0.001),奏効率は 20%から 36%に向上した(P<0.001).化学療法単独群とセツキシマブ併用群で頻度が高かったグレード 3 または 4 の有害事象は,貧血(19%,13%),好中球減少症(23%,22%)と血小板減少症(両群とも 11%)であった.敗血症はセツキシマブ併用群の 9 例,化学療法単独群の 1 例で発症した(P=0.02).セツキシマブ投与を受けた 219 例のうち,9%でグレード 3 の皮膚反応がみられ,3%でグレード 3 または 4 の投与関連反応がみられた.セツキシマブに関連した死亡はなかった.

結 論

再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌患者に対する一次治療では,プラチナ製剤を中心とした化学療法にフルオロウラシルのみを追加するよりも,プラチナ+フルオロウラシルによる化学療法にセツキシマブを追加したほうが,全生存期間が延長した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00122460)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 1116 - 27. )