September 18, 2008 Vol. 359 No. 12
CT コロノグラフィーにおける大きな腺腫と癌の検出精度
Accuracy of CT Colonography for Detection of Large Adenomas and Cancers
C.D. Johnson and Others
CT コロノグラフィー(CTC)は,結腸直腸癌スクリーニングの非侵襲的な選択肢である.しかし,無症状の成人に対するスクリーニングツールとしての精度はあまり明らかにされていない.
無症状で年齢 50 歳以上の参加者 2,600 例を 15 施設で募集した.CTC の撮影は,標準的な腸管前処置,便と腸内液の標識,機械による腸内への送気,マルチスライス CT スキャナー(16 列以上)を用いて行った.CTC の訓練を受けた放射線科医が直径 5 mm 以上と測定される病変をすべて報告した.各施設で,確立されている臨床プロトコールに従って光学式大腸内視鏡検査と組織学的検討を行い,それらを評価基準とした.主要エンドポイントは,大腸内視鏡検査で検出され,組織学的に確認された大きな腺腫と腺癌(直径 10 mm 以上)が,CTC によって検出されることとした.より小さな結腸直腸病変(直径 6~9 mm)の検出についても評価を行った.
2,531 例(97%)について完全なデータが得られた.大きな腺腫と癌に対する CTC の感度,特異度,陽性適中率,陰性適中率,ROC 曲線下面積における患者ごとの推定値の平均(±SE)はそれぞれ,0.90±0.03,0.86±0.02,0.23±0.02,0.99±<0.01,0.89±0.02 であった.この 0.90(すなわち 90%)という感度は,CTC では 10%の患者の直径 10 mm 以上の病変を検出できなかったことを示している.大きな腺腫または癌に対するポリープごとの感度は 0.84±0.04 であった.直径 6 mm 以上の腺腫の検出に対する患者ごとの感度は 0.78 であった.
無症状の成人を対象としたこの研究では,CTC を用いたスクリーニングにより,直径 10 mm 以上の腺腫または癌を有する被験者の 90%を同定することができた.これらの結果は,結腸直腸癌の平均的なリスクを有する患者のスクリーニングにおける CTC の役割に関して,これまでに発表されているデータを支持するものである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00084929,American College of Radiology Imaging Network [ACRIN] 番号:6664)