The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

September 18, 2008 Vol. 359 No. 12

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

脳卒中の再発と心血管イベントの予防におけるテルミサルタン
Telmisartan to Prevent Recurrent Stroke and Cardiovascular Events

S. Yusuf and Others

背景

脳卒中後の長期降圧療法により,脳卒中の再発リスクは低下する.さらに,高リスク患者では,レニン・アンジオテンシン系の阻害により脳卒中を含むその後の心血管イベントの発生率が低下する.しかし,脳卒中の発症後早期に投与するレニン・アンジオテンシン系阻害薬の降圧作用は明確に確立されていない.われわれは,脳卒中発症後早期にアンジオテンシン受容体拮抗薬テルミサルタンの投与を開始する治療法の効果を検討した.

方 法

虚血性脳卒中を最近発症した 20,332 例を対象とした多施設共同試験で,10,146 例をテルミサルタン(1 日 80 mg)投与群に,10,186 例をプラセボ投与群に無作為に割り付けた.主要転帰は脳卒中の再発とした.副次的転帰は,主要心血管イベント(心血管系の原因による死亡,脳卒中の再発,心筋梗塞,心不全の新規発症または悪化)と,糖尿病の新規発症とした.

結 果

脳卒中の発症から無作為化までの期間の中央値は 15 日であった.平均 2.5 年間の追跡期間中の平均血圧は,テルミサルタン群のほうがプラセボ群よりも 3.8/2.0 mmHg 低かった.再発は,テルミサルタン群の 880 例(8.7%)とプラセボ群の 934 例(9.2%)でみられた(テルミサルタン群のハザード比 0.95,95%信頼区間 [CI] 0.86~1.04,P=0.23).主要心血管イベントが発生したのは,テルミサルタン群で 1,367 例(13.5%),プラセボ群で 1,463 例(14.4%)であった(ハザード比 0.94,95% CI 0.87~1.01,P=0.11).糖尿病を新たに発症したのは,テルミサルタン群で 1.7%,プラセボ群で 2.1%であった(ハザード比 0.82,95% CI 0.65~1.04,P=0.10).

結 論

虚血性脳卒中の発症後早期にテルミサルタンの投与を開始し,2.5 年間継続しても,脳卒中の再発率,主要心血管イベントの発生率,糖尿病の発症率は有意には低下しなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00153062)

本論文(10.1056/NEJMoa0804593)は,2008 年 8 月 27 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 1225 - 37. )