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October 2, 2008 Vol. 359 No. 14

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加齢黄斑変性における Toll 様受容体 3 と地図状萎縮
Toll-like Receptor 3 and Geographic Atrophy in Age-Related Macular Degeneration

Z. Yang and Others

背景

加齢黄斑変性は,先進国における不可逆的な視覚障害の原因としてもっとも頻度が高い.進行した加齢黄斑変性では,地図状萎縮と脈絡膜血管新生がみられる.地図状萎縮の素因となる特定の遺伝的変異は,大部分が明らかにされていない.

方 法

ヨーロッパ系アメリカ人を対象に,Toll 様受容体 3 遺伝子(TLR3)の機能的変異体である rs3775291(アミノ酸 412 のロイシンからフェニルアラニンへの置換を伴う)と加齢黄斑変性との関連を検討した.また,TLR3 の Leu 変異体と Phe 変異体が,in vitro でのヒト網膜色素上皮細胞の生存に及ぼす影響と,野生型マウスと Tlr3 ノックアウト(Tlr3-/-)マウスの網膜色素上皮細胞のアポトーシスに及ぼす影響を検討した.

結 果

rs3775291 の T 対立遺伝子にコードされる Phe 変異体は,地図状萎縮に対する防護作用と関連を示した(P=0.005).この関連は,地図状萎縮を有する 2 つの独立した症例対照集団で再現された(P=5.43×10-4,P=0.002).TLR3 変異体と脈絡膜血管新生のあいだに関連は認められなかった.プロトタイプ TLR3 リガンドによるアポトーシス誘発は,Leu-Leu 遺伝子型のヒト網膜色素上皮細胞では Leu-Phe 遺伝子型よりも多くの分画でみられ,野生型マウスでは Tlr3-/-マウスより多くみられた.

結 論

TLR3 の 412Phe 変異体は,おそらくは網膜色素上皮細胞の細胞死を抑制することにより,地図状萎縮に対する防護作用を付与する.二本鎖 RNA(dsRNA)は TLR3 介在アポトーシスを活性化することから,今回の研究結果で,地図状萎縮の発現におけるウイルス由来 dsRNA の役割が示唆され,眼の短鎖干渉 RNA(siRNA)療法には毒性作用がある可能性が示された.

本論文(10.1056/NEJMoa0802437)は,2008 年 8 月 27 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 1456 - 63. )